胃がんリスク評価ABC分類のA群における上部消化管内視鏡所見とHelicobacter pylori感染の状態の検討

目的:胃がんリスク評価ABC分類の結果と上部消化管内視鏡検査(以下,EGD)の所見を比較し,Helicobacter pylori(以下,HP)感染の状況を検討する. 方法:21ヵ月間にABC分類とEGDを実施したA群345症例を対象とした.それらについて,木村・竹本分類に基づいた内視鏡的萎縮変化,および胃炎の京都分類の胃がんリスクの内視鏡所見スコア(以下,胃炎の京都分類スコア)からスコア0点をHP未感染群,スコア1~8点をHP感染群(除菌後も含む)に分類し血清HP抗体と血清ペプシノゲン(以下,PG)値について検討を行った. 結果:A群345人の内視鏡画像から,木村・竹本分類で萎縮ありは7.2...

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Published in人間ドック Vol. 32; no. 4; pp. 653 - 658
Main Authors 須藤, 梢, 松本, さやか, 神野, 秀基, 安原, ひさ恵, 秋田, 光洋, 中津, 守人, 森藤, 由記, 幡, 英典, 遠藤, 日登美, 今川, 敦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本人間ドック学会 2017
日本人間ドック学会
Subjects
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ISSN1880-1021
2186-5027
DOI10.11320/ningendock.32.653

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Summary:目的:胃がんリスク評価ABC分類の結果と上部消化管内視鏡検査(以下,EGD)の所見を比較し,Helicobacter pylori(以下,HP)感染の状況を検討する. 方法:21ヵ月間にABC分類とEGDを実施したA群345症例を対象とした.それらについて,木村・竹本分類に基づいた内視鏡的萎縮変化,および胃炎の京都分類の胃がんリスクの内視鏡所見スコア(以下,胃炎の京都分類スコア)からスコア0点をHP未感染群,スコア1~8点をHP感染群(除菌後も含む)に分類し血清HP抗体と血清ペプシノゲン(以下,PG)値について検討を行った. 結果:A群345人の内視鏡画像から,木村・竹本分類で萎縮ありは7.2%,胃炎の京都分類スコアでHP感染群は7.5%であった.血清HP抗体<3U/mLの307人の内視鏡画像から,木村・竹本分類の萎縮ありは2.0%,胃炎の京都分類スコアのHP感染群も2.0%であった.胃炎の京都分類スコアでのHP感染群とHP未感染群の検討では,血清PGⅡ値で有意差が認められた. 結論:ABC分類でA群に分類されていても,内視鏡画像で木村・竹本分類から胃粘膜萎縮,および胃炎の京都分類スコアから胃HP感染群の存在が示唆された.HP感染はABC分類単独で診断せず血清PGⅡ値を参考にし,また,内視鏡診断を併用して胃がんリスクを評価することが望ましい.
ISSN:1880-1021
2186-5027
DOI:10.11320/ningendock.32.653