低用量アスピリン及び非ステロイド性消炎鎮痛薬による消化管障害の危険性の評価

「緒言」アスピリンは抗血小板作用を有し, 血栓性疾患において血栓形成の再発予防に低用量で用いられている. その一方で, 低用量にもかかわらず副作用として消化管障害が臨床上重要な問題となっている.1) アスピリンは血小板のシクロオキシゲナーゼ(COX)-1を非可逆的に阻害することにより, 血小板凝集に関与するトロンボキサン(TX)A2の産生を阻害し, 抗血小板作用を示す. 一方, アスピリンは消化管粘膜に存在するCOX-1も阻害し, 消化管粘膜防御因子であるプロスタグランジン(PG)E2の産生を抑制し, 消化管障害を誘発する.2) COXは, アラキドン酸に作用しPGG2を経てPGH2に変換する...

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Published inYAKUGAKU ZASSHI Vol. 131; no. 7; pp. 1085 - 1094
Main Authors 徳岡, 健太郎, 北川, 泰久, 山田, 安彦, 渡邊, 昌之, 横山, 晴子, 鈴木, 優司, 中村, 浩規, 矢口, 武廣
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本薬学会 01.07.2011
日本薬学会
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ISSN0031-6903
1347-5231
DOI10.1248/yakushi.131.1085

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Summary:「緒言」アスピリンは抗血小板作用を有し, 血栓性疾患において血栓形成の再発予防に低用量で用いられている. その一方で, 低用量にもかかわらず副作用として消化管障害が臨床上重要な問題となっている.1) アスピリンは血小板のシクロオキシゲナーゼ(COX)-1を非可逆的に阻害することにより, 血小板凝集に関与するトロンボキサン(TX)A2の産生を阻害し, 抗血小板作用を示す. 一方, アスピリンは消化管粘膜に存在するCOX-1も阻害し, 消化管粘膜防御因子であるプロスタグランジン(PG)E2の産生を抑制し, 消化管障害を誘発する.2) COXは, アラキドン酸に作用しPGG2を経てPGH2に変換する酵素であり, COX-1及びCOX-2に分類される. COX-1は様々な組織において発現しており, 血小板や胃などに恒常的に存在する.3) 一方, COX-2は一般的に炎症などの刺激によって誘導される.3)
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.131.1085