個々の患者の副作用予測のために開発された婦人科がん化学療法モニタリングシート

「緒言」がん化学療法に伴う副作用の現れ方や強度は個体間で著しく異なる. 1)薬物代謝酵素の遺伝子レベルでの解明に伴い個体間差の機序は次第に明らかになっているが, 2)いまだ臨床において遺伝子診断の基に個々の患者の副作用予測を行うには至っていない. このため, がん化学療法の副作用対策では, 個々の症例の十分な観察と副作用発現時の適切な対応, 3, 4)個々の患者に特徴的な副作用の把握と副作用の予測が極めて重要となる. 婦人科がんのうち, 卵巣がんは進行した状態で発見されることが多く, 子宮頸がん, 子宮体がんは比較的早期で発見されるが予後の悪い進行, 再発症例が存在する. プラチナ薬剤, タキ...

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Published inYAKUGAKU ZASSHI Vol. 127; no. 6; pp. 1027 - 1033
Main Authors 黒崎, 勇二, 河添, 仁, 森田, 修之, 飯原, なおみ, 芳地, 一, 福岡, 憲泰, 土居, 智明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本薬学会 01.06.2007
日本薬学会
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ISSN0031-6903
1347-5231
DOI10.1248/yakushi.127.1027

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Summary:「緒言」がん化学療法に伴う副作用の現れ方や強度は個体間で著しく異なる. 1)薬物代謝酵素の遺伝子レベルでの解明に伴い個体間差の機序は次第に明らかになっているが, 2)いまだ臨床において遺伝子診断の基に個々の患者の副作用予測を行うには至っていない. このため, がん化学療法の副作用対策では, 個々の症例の十分な観察と副作用発現時の適切な対応, 3, 4)個々の患者に特徴的な副作用の把握と副作用の予測が極めて重要となる. 婦人科がんのうち, 卵巣がんは進行した状態で発見されることが多く, 子宮頸がん, 子宮体がんは比較的早期で発見されるが予後の悪い進行, 再発症例が存在する. プラチナ薬剤, タキサン系薬剤, トポイソメラーゼ阻害剤を用いた標準的治療が確立され始めている5-8)が奏功率はかならずしも高くなく, 婦人科がん化学療法はレジメンの変更を伴いながらしばしば長期間に亘って繰り返される. このような婦人科がん化学療法の副作用モニタリングでは個々の患者における一連の治療状況と副作用とを関連付けた分析, すなわち, 発現した副作用の種類や強度が抗がん剤の変更並びに治療の繰り返しによって変化していないか, 患者特有の副作用発現パターンがないかを1人1人の患者において評価し, 次の化学療法に役立てていくことが極めて重要であると考えられる.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.127.1027