肺がん検診における問診票によるCOPD検診の実施可能性に関する検討

目的:日本人のCOPD有病率は,喫煙経験者のほうが非喫煙者よりも高く,高齢になるほど高くなる傾向があることが分かっている.こうした有病率の高い層へ,住民肺がん検診において問診票を併用することで,潜在的に存在するCOPD患者を拾い上げ治療まで持ち込むことができるか,また,その有用性や効果について検討した.方法:肺がん集団検診における喀痰細胞診受診者(原則50歳以上かつ喫煙指数600以上)730名にCOPD問診票を配布.記載のあった問診票に対してmodified British Medical Research Council(mMRC)Gradeや自覚症状をもとにCOPD評価をした.これより要精...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in人間ドック Vol. 35; no. 4; pp. 586 - 594
Main Authors 武田, 季代, 佐々木, 幸恵, 髙橋, 里美, 齋藤, 泰紀, 渡辺, 彰, 佐藤, 美香, 加藤, 剛, 森, 麻依子, 松田, 堯, 太斎, 幸子, 浅野, 美穂
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本人間ドック学会 2020
日本人間ドック学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1880-1021
2186-5027
DOI10.11320/ningendock.35.586

Cover

More Information
Summary:目的:日本人のCOPD有病率は,喫煙経験者のほうが非喫煙者よりも高く,高齢になるほど高くなる傾向があることが分かっている.こうした有病率の高い層へ,住民肺がん検診において問診票を併用することで,潜在的に存在するCOPD患者を拾い上げ治療まで持ち込むことができるか,また,その有用性や効果について検討した.方法:肺がん集団検診における喀痰細胞診受診者(原則50歳以上かつ喫煙指数600以上)730名にCOPD問診票を配布.記載のあった問診票に対してmodified British Medical Research Council(mMRC)Gradeや自覚症状をもとにCOPD評価をした.これより要精密検査者を抽出し,当施設またはかかりつけ医にての精密検査を促した.精密検査実施とともに必要に応じ吸入薬による治療・禁煙指導を行い,2週間後の再受診で状況を確認.地域医療機関へと紹介した.結果:喀痰細胞診受診者730名中,問診票に記載があったのは306名であった.これに対し問診票によるCOPD評価を行い,64名を要精密検査とし,このうち精密検査を受けたのは37名であった.精密検査における肺機能検査によりCOPD確定となったのは13名,境界例を含めると17名であった.当施設にて治療を行った11名中6名において治療前後のCOPD assessment test(CAT)問診票で3点以上の症状軽減があった.現在喫煙ありの8名に禁煙指導を行い,3名が禁煙,3名が減煙した.治療継続が必要と考えられる9名は地域医療機関へ紹介し終了とした.結論:肺がん集団検診において,問診票を利用し730名中17名のCOPD確定13例,境界4例を拾い上げることができた.精密検査受診者37名に対する陽性反応的中度は35.1%であり,さらにQOLの改善例,禁煙,減煙の成功例があった.
ISSN:1880-1021
2186-5027
DOI:10.11320/ningendock.35.586