自由行動下血圧に基づく高血圧診療の医療経済学的評価
「はじめに」近年, 先進諸国において医療費の高騰は社会問題化し, 医療費適正化は重要な政策課題とされている. そのような中で, 限られた医療資源を真に効果的で効率的な医療へ有効利用するため, 医療を経済学的視点から見ることの必要性が増しつつある. 平成18年度の高血圧性疾患の医療費は2兆2100億円と循環器系疾患の3分の1を占め, 1)また高血圧は, 脳卒中や虚血性心疾患, 腎疾患, 認知症などを引き起こす最大の危険因子とされており, これらの治療費までを含めると, 高血圧とその関連疾患に費やされる医療費は莫大となることが予想される. 2)医療資源は有限であるため, 高血圧治療においては高い治...
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Published in | YAKUGAKU ZASSHI Vol. 130; no. 6; pp. 805 - 820 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本薬学会
01.06.2010
日本薬学会 |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0031-6903 1347-5231 |
DOI | 10.1248/yakushi.130.805 |
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Summary: | 「はじめに」近年, 先進諸国において医療費の高騰は社会問題化し, 医療費適正化は重要な政策課題とされている. そのような中で, 限られた医療資源を真に効果的で効率的な医療へ有効利用するため, 医療を経済学的視点から見ることの必要性が増しつつある. 平成18年度の高血圧性疾患の医療費は2兆2100億円と循環器系疾患の3分の1を占め, 1)また高血圧は, 脳卒中や虚血性心疾患, 腎疾患, 認知症などを引き起こす最大の危険因子とされており, これらの治療費までを含めると, 高血圧とその関連疾患に費やされる医療費は莫大となることが予想される. 2)医療資源は有限であるため, 高血圧治療においては高い治療の質を追求し費用対効果も考慮に入れることが重要である. 高血圧診療は, 医療環境下での血圧である「外来随時血圧(Casual-Clinic Blood Pressure:CBP)」の値を基に行われてきた. しかし, CBPのみに基づく高血圧診療にはいくつかの限界が挙げられる. |
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ISSN: | 0031-6903 1347-5231 |
DOI: | 10.1248/yakushi.130.805 |