ホルムアルデヒドへのアレルギーを主症状としたシックハウス症候群の1例

「はじめに」「シックハウス症候群(SHS)」という用語が使われるようになってから久しいが, その病態については, すべてが解明されているわけではない. 狭義の「SHS」は建材などから発生する化学物質が原因とされており, 代表物質としてホルムアルデヒドが挙げられる. ホルムアルデヒドが原因と思われるSHSの患者のなかで, ホルムアルデヒドに対するIgE抗体が上昇している患者をほとんど経験しない. しかし, 今回われわれはホルムアルデヒドに対するアレルギーがもとで発症したと思われるSHSを経験したので報告する. 症例 症例は35歳女性. 家族構成は夫と子供の3人暮らし. 新築マンションに入居後10...

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Published in産業衛生学雑誌 Vol. 50; no. 3; pp. 83 - 85
Main Authors 西中川, 秀太, 小川, 真規, 川本, 俊弘, 圓藤, 陽子, 横沢, 册子, 後藤, 浩之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本産業衛生学会 2008
日本産業衛生学会
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ISSN1341-0725
1349-533X
DOI10.1539/sangyoeisei.D7002

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Summary:「はじめに」「シックハウス症候群(SHS)」という用語が使われるようになってから久しいが, その病態については, すべてが解明されているわけではない. 狭義の「SHS」は建材などから発生する化学物質が原因とされており, 代表物質としてホルムアルデヒドが挙げられる. ホルムアルデヒドが原因と思われるSHSの患者のなかで, ホルムアルデヒドに対するIgE抗体が上昇している患者をほとんど経験しない. しかし, 今回われわれはホルムアルデヒドに対するアレルギーがもとで発症したと思われるSHSを経験したので報告する. 症例 症例は35歳女性. 家族構成は夫と子供の3人暮らし. 新築マンションに入居後10ヶ月間で1-2回, 2-3時間で消失する足・頚部を中心とした膨疹を生じた. その後膨疹の頻度は増加し, 週に1-2回生じるようになり, 口唇の腫脹, 息苦しさといった呼吸器症状も生じるようになった. いくつかの皮膚科を受診するもストレス性蕁麻疹の診断であったが, 某病院皮膚科を受診した際, 採血にてホルムアルデヒドに対するIgE抗体が上昇, また転居後の発症によりシックハウス症候群が疑われ紹介受診となった.
ISSN:1341-0725
1349-533X
DOI:10.1539/sangyoeisei.D7002