血管写上腫瘍陰影を呈した下垂体腺腫の1例

トルコ鞍周辺部腫瘍にはいろいろの種類のものがあるが, 脳血管写で腫瘍陰影(Tumor stain)を呈する腫瘍は大部分が髄膜腫であり, 下垂体腺腫における腫瘍陰影の報告例は非常にまれである. 我々は最近25年の経過をたどつた下垂体腺腫で脳血管写で腫瘍陰影をみとめた症例を経験したので若干の考察を加えて報告する. 「症例」患者 佐○貞○ 65才 男子 農業 既往歴, 家族歴ともに特記すべきものなし. 現病歴:25年前より右視力障害があり, その程度が徐々に悪化し, 最近ではほとんど失明に近い状態となつた. 10年ぐらい前より左視力も低下しはじめ, そのころより腋毛, 恥毛の脱落, 性欲減退に気付い...

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Published in医療 Vol. 28; no. 10; pp. 891 - 894
Main Authors 辻, 宏, 中村, 昂, 石島, 裕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 1974
医療同好会
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ISSN0021-1699
1884-8729
DOI10.11261/iryo1946.28.891

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Summary:トルコ鞍周辺部腫瘍にはいろいろの種類のものがあるが, 脳血管写で腫瘍陰影(Tumor stain)を呈する腫瘍は大部分が髄膜腫であり, 下垂体腺腫における腫瘍陰影の報告例は非常にまれである. 我々は最近25年の経過をたどつた下垂体腺腫で脳血管写で腫瘍陰影をみとめた症例を経験したので若干の考察を加えて報告する. 「症例」患者 佐○貞○ 65才 男子 農業 既往歴, 家族歴ともに特記すべきものなし. 現病歴:25年前より右視力障害があり, その程度が徐々に悪化し, 最近ではほとんど失明に近い状態となつた. 10年ぐらい前より左視力も低下しはじめ, そのころより腋毛, 恥毛の脱落, 性欲減退に気付いた. 6年前突然全身の強直性・間代性痙攣発作をおこし, その後年に1~2回同様の発作を来すようになつた. なお, 数年前他院眼科にて眼の奥に腫瘍があると指摘されたことがある. 入院時所見:体格中等でやや肥満. 皮膚は乾燥しチリメンジワを呈す. 腋毛は全くなく恥毛も乏少である.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.28.891