職域がん検診の精検受診率向上への取り組み -コール・リコールシステムによる精検受診勧奨

目的:職域がん検診の精検受診率を向上させるため,文書および電話によるコール・リコールを行った.精検受診勧奨法としてこのシステムの効果を検討した. 方法:平成25年度に受診した職域がん検診精検未受診者に対して,3ヵ月後に文書による精検受診確認および受診勧奨(コール)を行った.文書には返信はがきを同封し,精検受診状況を記載したうえでの返信を求めた.文書による受診勧奨から1ヵ月経過しても精検結果の返却がなく精検未受診と思われる場合,本人に電話による再勧奨(リコール)を行った.すでに精検受診・予約済の場合は受診医療機関を聞き,その結果を医療機関に問い合わせることにより精検結果の正確な把握に努めた. 結...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in人間ドック Vol. 31; no. 4; pp. 555 - 563
Main Authors 渡部, 順子, 工藤, 智美, 渡部, 恵美, 工藤, ゆき, 伊藤, 陽子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本人間ドック学会 2016
日本人間ドック学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1880-1021
2186-5027
DOI10.11320/ningendock.31.555

Cover

More Information
Summary:目的:職域がん検診の精検受診率を向上させるため,文書および電話によるコール・リコールを行った.精検受診勧奨法としてこのシステムの効果を検討した. 方法:平成25年度に受診した職域がん検診精検未受診者に対して,3ヵ月後に文書による精検受診確認および受診勧奨(コール)を行った.文書には返信はがきを同封し,精検受診状況を記載したうえでの返信を求めた.文書による受診勧奨から1ヵ月経過しても精検結果の返却がなく精検未受診と思われる場合,本人に電話による再勧奨(リコール)を行った.すでに精検受診・予約済の場合は受診医療機関を聞き,その結果を医療機関に問い合わせることにより精検結果の正確な把握に努めた. 結果:平成24年度と25年度の精検受診率を比較し,大腸がん検診8.6%,胃がん検診5.3%,肺がん(胸部)検診5.1%,子宮がん検診4.0%,乳がん検診0.6%の順で上昇した.胃がん,大腸がん検診では有意差がみられた(p<0.05). 結論:コール・リコールによる精検受診勧奨により,文書だけでなく電話等,直接本人と話せる受診勧奨法が効果を高めることが示唆された.この過程で精検既受診者の精検結果未把握分を医療機関から回収することで,より正確な精検受診率の算出も可能となった.今後,さらに職域の精検受診率を向上させるためには,受診者個人への対策とともに,事業所,医療機関とも協力・連携し,精検受診しやすい環境を整えていくことが重要である.
ISSN:1880-1021
2186-5027
DOI:10.11320/ningendock.31.555