尿蛋白測定試験紙における(±)の病的意義について

目的:尿蛋白測定試験紙(±)という判定結果の病的意義を明らかにすることを目的として,当協会のデータを用い,(-)群と(±)群間で腎・循環器系検査諸項目,並びに尿酸値における異常を呈する割合を横断的・縦断的に比較検討した. 方法:2005年から2011年の7年間に,当協会で尿蛋白検査を実施した計222,255例を対象とした.各年毎並びに7年間全例につき尿蛋白判定(-),(±)に加えて(+),(2+以上)の4群に分け,血清クレアチニン値,eGFR,血圧,心電図所見,尿酸値における異常を呈する割合を比較検討した.また2005年当時(-),(±)両群の,2011年受診時における尿蛋白を含めた上記諸項目...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in人間ドック Vol. 29; no. 3; pp. 490 - 495
Main Authors 清水, 不二雄, 福田, 祐明, 上村, 由紀, 菊池, 勝順, 渋木, 健太郎, 笠井, 真由美, 村山, 実, 大野, 義将, 番場, 一成, 松浦, 恵子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本人間ドック学会 2014
日本人間ドック学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1880-1021
2186-5027
DOI10.11320/ningendock.29.490

Cover

More Information
Summary:目的:尿蛋白測定試験紙(±)という判定結果の病的意義を明らかにすることを目的として,当協会のデータを用い,(-)群と(±)群間で腎・循環器系検査諸項目,並びに尿酸値における異常を呈する割合を横断的・縦断的に比較検討した. 方法:2005年から2011年の7年間に,当協会で尿蛋白検査を実施した計222,255例を対象とした.各年毎並びに7年間全例につき尿蛋白判定(-),(±)に加えて(+),(2+以上)の4群に分け,血清クレアチニン値,eGFR,血圧,心電図所見,尿酸値における異常を呈する割合を比較検討した.また2005年当時(-),(±)両群の,2011年受診時における尿蛋白を含めた上記諸項目の異常を呈する割合,並びに2011年受診時尿蛋白(+)以上を示した両群における,CKD重症度を含めた異常割合を比較検討した. 結果:各横断的検討において(±)群は,(-)群より対象諸項目の異常割合が高く,その割合は尿蛋白の増加につれて高くなった.また2005年当時(-),(±)両群間での,2011年受診時の蛋白尿を含めた異常所見割合は(±)群の方が高く,2011年受診時尿蛋白(+)以上を示した両群間の比較検討結果でも,(±)群の方がCKD重症度を含めて異常所見割合が高かった. 結論:尿蛋白測定試験紙における(±)群は(-)群と比べ,横断的にも縦断的にも腎・循環器系検査諸項目,尿酸値の異常所見を呈する割合が高いことから,(±)の判定結果は病的意義を有すると考える.
ISSN:1880-1021
2186-5027
DOI:10.11320/ningendock.29.490