胃内視鏡検査を受ける受診者の不安と苦痛の考察
目的:胃内視鏡検査(upper gastrointestinal endoscopy: GIE)の諸条件と苦痛の関連を評価し,苦痛の少ないGIEの在り方を検討する.方法:2018年11月~2019年4月の人間ドック受診者にGIEの苦痛や人間ドック満足度に関するアンケート調査を行った.その結果を,GIEの検査記録(累積検査回数,検査前の不安,挿入経路,鎮静の有無,使用スコープ径,検査時間,生検の有無,嘔吐反射や体動の程度など)や人間ドックの結果情報と突合した.5,249名を対象者とし,さまざまな情報とGIEの苦痛との関連を多変量解析により評価した.結果:多変量調整後でも,若い年代,女性,検査前の...
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Published in | 人間ドック Vol. 35; no. 4; pp. 631 - 640 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本人間ドック学会
2020
日本人間ドック学会 |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1880-1021 2186-5027 |
DOI | 10.11320/ningendock.35.631 |
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Summary: | 目的:胃内視鏡検査(upper gastrointestinal endoscopy: GIE)の諸条件と苦痛の関連を評価し,苦痛の少ないGIEの在り方を検討する.方法:2018年11月~2019年4月の人間ドック受診者にGIEの苦痛や人間ドック満足度に関するアンケート調査を行った.その結果を,GIEの検査記録(累積検査回数,検査前の不安,挿入経路,鎮静の有無,使用スコープ径,検査時間,生検の有無,嘔吐反射や体動の程度など)や人間ドックの結果情報と突合した.5,249名を対象者とし,さまざまな情報とGIEの苦痛との関連を多変量解析により評価した.結果:多変量調整後でも,若い年代,女性,検査前の不安,少ない累積検査回数,長い検査時間,検査中の嘔吐反射や体動の出現はGIEの苦痛と有意に関連し,鎮静薬の使用は苦痛軽減に関連した.挿入経路,鎮静の有無,使用スコープ径を組み合わせた6群間の比較では,鎮静の経鼻GIEにて嘔吐反射が最も少なく,鎮静の経鼻GIEに比べて,鎮静ありの経口と経鼻のGIEでは嘔吐反射や体動が出やすいが苦痛は少なかった.経口GIEでは通常径に比べて細径スコープ使用時に苦痛は少なく,特に鎮静の場合に苦痛の差が大きかった.GIEの苦痛は人間ドック満足度と強く関連した.結論:検査前の問診情報と不安の程度,過去のGIE検査条件と苦痛の程度をもとに,鎮静薬や細径スコープを使用することは,GIEの苦痛軽減につながり,人間ドック満足度に影響する可能性がある. |
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ISSN: | 1880-1021 2186-5027 |
DOI: | 10.11320/ningendock.35.631 |