院内製剤塩化レボカルニチン懸濁液の最適な調製法について

緒言 希少疾病であるレボカルニチン欠乏症は哺乳開始後に進行性の代謝性アシドーシス, ケトーシスを呈し, 嘔吐, 筋緊張低下, 意識障害などの症状が出現し, 死の転帰をとる先天的な疾患である. 1-3)レボカルニチンは微生物から動植物及びヒトに亘る広範囲の生物体に存在し, 脂肪酸の酸化過程において, 長鎖脂肪酸がミトコンドリア内に取り込まれる際のキャリアーとして重要な働きをしており, 生体にとって有害なプロピオニル基を毒性の弱いプロピオニルカルニチンとして尿中へ排泄させるとともに, ミトコンドリア機能を賦活させる. 2-7) また生理学的にはl-体が有用であり, d-体は活性を示さないと言われて...

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Published inYAKUGAKU ZASSHI Vol. 126; no. 9; pp. 805 - 809
Main Authors 根ヶ山, 清, 宮田, 茂, 岡部, 昭延, 玉井, 栄治, 芳地, 一, 田中, 裕章, 朝倉, 正登, 福岡, 憲泰, 土居, 智明, 松下, 治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本薬学会 01.09.2006
日本薬学会
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ISSN0031-6903
1347-5231
DOI10.1248/yakushi.126.805

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Summary:緒言 希少疾病であるレボカルニチン欠乏症は哺乳開始後に進行性の代謝性アシドーシス, ケトーシスを呈し, 嘔吐, 筋緊張低下, 意識障害などの症状が出現し, 死の転帰をとる先天的な疾患である. 1-3)レボカルニチンは微生物から動植物及びヒトに亘る広範囲の生物体に存在し, 脂肪酸の酸化過程において, 長鎖脂肪酸がミトコンドリア内に取り込まれる際のキャリアーとして重要な働きをしており, 生体にとって有害なプロピオニル基を毒性の弱いプロピオニルカルニチンとして尿中へ排泄させるとともに, ミトコンドリア機能を賦活させる. 2-7) また生理学的にはl-体が有用であり, d-体は活性を示さないと言われている. 1, 5-7) 市販されている塩化レボカルニチン錠の適応は, プロピオン酸血症, メチルマロン酸血症におけるレボカルニチン欠乏の改善である. 一方で上記の作用を期待し, 適応外使用で, 持続性低血圧を呈する透析患者の血圧改善や, 8)虚血性心疾患に対する病巣拡大防止にも用いられている.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.126.805