偽造医薬品の最前線—忍び寄る脅威との戦い

医薬品の偽造が, 他の物品にも増して深刻なのは, 人の体内に取り込まれ, 直接健康や生命に影響するからである. 20世紀には偽造医薬品は医薬品へのアクセスが不十分な途上国の問題と考えられていたが, 今や先進国も巻き込んだグローバルな問題となっている. 発展途上国では町の薬局で正規品に混って偽造医薬品が販売されていることがある. 一方, 先進国では国際犯罪組織が資金源として介在し, 生活改善薬のみならず, 治療上重要な医薬品の偽造品が, 製造地から遥かに離れた外国の治療現場に到達した事例も発生している. さらに, インターネットの普及が偽造医薬品の流通を容易にしている. 偽造薬流通の深刻化に対し...

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Published inYAKUGAKU ZASSHI Vol. 134; no. 2; pp. 195 - 196
Main Author 木村, 和子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本薬学会 01.02.2014
日本薬学会
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ISSN0031-6903
1347-5231
DOI10.1248/yakushi.13-00230-F

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Summary:医薬品の偽造が, 他の物品にも増して深刻なのは, 人の体内に取り込まれ, 直接健康や生命に影響するからである. 20世紀には偽造医薬品は医薬品へのアクセスが不十分な途上国の問題と考えられていたが, 今や先進国も巻き込んだグローバルな問題となっている. 発展途上国では町の薬局で正規品に混って偽造医薬品が販売されていることがある. 一方, 先進国では国際犯罪組織が資金源として介在し, 生活改善薬のみならず, 治療上重要な医薬品の偽造品が, 製造地から遥かに離れた外国の治療現場に到達した事例も発生している. さらに, インターネットの普及が偽造医薬品の流通を容易にしている. 偽造薬流通の深刻化に対し, 欧州や米国は近年急速に規制や取締りを強化している. 日本にも偽造医薬品は流入しており, 特にインターネットを介した個人輸入により一般人が暴露されている. グローバルに活動する製薬企業は, 偽造薬被害もグローバルレベルで被るようになった.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.13-00230-F