術前飲食のevidence─麻酔科医にとっての安全を求めて

米国やEU加盟諸国と同様に,わが国でも術前における体液管理は患者および医療従事者への負担を考慮し,今後は,経口的な補水療法へ代わると考える.その際に,麻酔科医は術前飲食に関する科学的根拠を持ち,飲料を摂取させる目的を明確に示して,麻酔科医自らが各施設で使用していく飲料を選択すべきと考える.著者は,術前の経口的な液体摂取を患者にも麻酔科医にも安全に提供する補水方法として,次の二つの条件を兼ね備えた方法が望ましいと考えている.一つ目の条件は,輸液療法と同等の水分・電解質補給効果を有する補水方法であること.二つ目の条件は,摂取した飲料が胃から迅速に小腸に排出される補水方法であること.著者は,術前経口...

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Published in日本臨床麻酔学会誌 Vol. 31; no. 7; pp. 959 - 971
Main Author 谷口, 英喜
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床麻酔学会 2011
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ISSN0285-4945
1349-9149
DOI10.2199/jjsca.31.959

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Summary:米国やEU加盟諸国と同様に,わが国でも術前における体液管理は患者および医療従事者への負担を考慮し,今後は,経口的な補水療法へ代わると考える.その際に,麻酔科医は術前飲食に関する科学的根拠を持ち,飲料を摂取させる目的を明確に示して,麻酔科医自らが各施設で使用していく飲料を選択すべきと考える.著者は,術前の経口的な液体摂取を患者にも麻酔科医にも安全に提供する補水方法として,次の二つの条件を兼ね備えた方法が望ましいと考えている.一つ目の条件は,輸液療法と同等の水分・電解質補給効果を有する補水方法であること.二つ目の条件は,摂取した飲料が胃から迅速に小腸に排出される補水方法であること.著者は,術前経口補水療法はこの二つの条件を満たしているので,術前の経口的な体液管理に最も適していると考える.
ISSN:0285-4945
1349-9149
DOI:10.2199/jjsca.31.959