膵管癒合不全を伴った膵Solid Pseudopapillary Tumorの1例
症例は30歳女性で,心窩部痛,嘔気を主訴に近医を受診し,膵腫瘍の診断で当院へ精査目的に紹介となった.腹部超音波では膵鉤部に20mm大の低エコー腫瘤を認め,内部に明らかな嚢胞成分や石灰化は認めなかった.腹部造影CTでは暫時的に辺縁より造影される低吸収腫瘤で,周囲への浸潤や膵管拡張は認めなかった.ERPでは膵管非癒合を認めたが,膵管の圧排,狭窄像や偏位は認めなかった.FDG-PETでは高集積を示した.充実性のsolid pseudopapillary tumor(SPT)と診断し膵頭十二指腸切除術を施行した.病理組織学的にはpseudopapillary patternは目立たず類円形細胞が増殖し...
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Published in | 膵臓 Vol. 25; no. 5; pp. 578 - 584 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本膵臓学会
2010
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Subjects | |
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Summary: | 症例は30歳女性で,心窩部痛,嘔気を主訴に近医を受診し,膵腫瘍の診断で当院へ精査目的に紹介となった.腹部超音波では膵鉤部に20mm大の低エコー腫瘤を認め,内部に明らかな嚢胞成分や石灰化は認めなかった.腹部造影CTでは暫時的に辺縁より造影される低吸収腫瘤で,周囲への浸潤や膵管拡張は認めなかった.ERPでは膵管非癒合を認めたが,膵管の圧排,狭窄像や偏位は認めなかった.FDG-PETでは高集積を示した.充実性のsolid pseudopapillary tumor(SPT)と診断し膵頭十二指腸切除術を施行した.病理組織学的にはpseudopapillary patternは目立たず類円形細胞が増殖し均一な組織像であったが,chromogranin A陰性,CD56陰性,synaptophysin陽性,EMA陰性,CD10陽性を示し膵SPTと診断した.膵管癒合不全を伴ったSPTの報告は本症例含め2例のみであり,稀な症例と考えられたため報告する. |
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ISSN: | 0913-0071 1881-2805 |
DOI: | 10.2958/suizo.25.578 |