植物系違法ドラッグVoacanga africana製品の成分分析及び DNA解析に関する研究

「緒言」 近年, 麻薬及び覚醒剤の代用として, 様々な化合物や幻覚性植物が乱用されている. 一般に違法ドラッグと呼ばれるこれらの製品群は, 主に麻薬, 覚醒剤に類似の構造を有する化学物質群と, 向精神薬様活性を有する成分を含有する植物群とに大別される. 2006年度の薬事法改正により, 2007年4月より指定薬物制度が施行され, これら違法ドラッグに対する規制が強化されたが, 一方で, 規制が厳しくなった化学物質の代替品として, 植物由来の違法ドラッグ製品の流通が問題となっている. Voacanga africana Stapf ex S.Elliot.は, 熱帯アフリカに分布しているキョウチ...

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Published inYAKUGAKU ZASSHI Vol. 129; no. 8; pp. 975 - 982
Main Authors 合田, 幸広, 花尻(木倉), 瑠理, 宮下, 聡徳, 丸山, 卓郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本薬学会 01.08.2009
日本薬学会
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ISSN0031-6903
1347-5231
DOI10.1248/yakushi.129.975

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Summary:「緒言」 近年, 麻薬及び覚醒剤の代用として, 様々な化合物や幻覚性植物が乱用されている. 一般に違法ドラッグと呼ばれるこれらの製品群は, 主に麻薬, 覚醒剤に類似の構造を有する化学物質群と, 向精神薬様活性を有する成分を含有する植物群とに大別される. 2006年度の薬事法改正により, 2007年4月より指定薬物制度が施行され, これら違法ドラッグに対する規制が強化されたが, 一方で, 規制が厳しくなった化学物質の代替品として, 植物由来の違法ドラッグ製品の流通が問題となっている. Voacanga africana Stapf ex S.Elliot.は, 熱帯アフリカに分布しているキョウチクトウ科(Apocynaceae)に属する木本類である. 1) 主に種子が「呪術師の植物」等を標榜して, 違法ドラッグ市場で流通している. 催淫・幻覚成分ibogaineを含有することで有名なイボガ(Tabernanthe iboga Baill.)やTabernaemontana属の近縁種であり, アフリカ地域では, 古くから感染症治療に用いられると同時に, 呪術的な目的でシャーマンに根皮や種子が用いられてきた. 2, 3)
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.129.975