任意型健診においてCA19-9測定によって検出される膵がんについて

目的:任意型健診にCA19-9を導入することによって切除可能な膵がんが発見できたことについて既に報告した.今回はその後の6年間の成績について報告する. 対象と方法:2010年4月から2015年7月までの延べ99,807例の人間ドック受診者を対象とした.当施設の受診者の約80%はリピーターであった.全例にCA19-9測定と腹部超音波検査が施行され,CA19-9が異常値を呈した症例においては,必要に応じて各種画像検査を施行し,経過観察は原則3ヵ月毎とした. 結果:2010年度(導入初年度)の膵がん発見率は0.025%であったが,6年間の平均発見率は0.010%に低下した.10例の膵がんのうち9例は...

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Published in人間ドック Vol. 32; no. 1; pp. 26 - 32
Main Authors 矢島, 義昭, 戸塚, 真弓, 吉田, 沙也香, 原田, 和彦, 佐藤, 武敏, 細内, 康男, 黒澤, 功, 清水, 瑶子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本人間ドック学会 2017
日本人間ドック学会
Subjects
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ISSN1880-1021
2186-5027
DOI10.11320/ningendock.32.26

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Summary:目的:任意型健診にCA19-9を導入することによって切除可能な膵がんが発見できたことについて既に報告した.今回はその後の6年間の成績について報告する. 対象と方法:2010年4月から2015年7月までの延べ99,807例の人間ドック受診者を対象とした.当施設の受診者の約80%はリピーターであった.全例にCA19-9測定と腹部超音波検査が施行され,CA19-9が異常値を呈した症例においては,必要に応じて各種画像検査を施行し,経過観察は原則3ヵ月毎とした. 結果:2010年度(導入初年度)の膵がん発見率は0.025%であったが,6年間の平均発見率は0.010%に低下した.10例の膵がんのうち9例は膵管がんで,1例は嚢胞腺がんであった.stageⅠが2例,stageⅡが1例,stageⅣaが4例,stageⅣbが3例であった.したがって,治癒切除率は70%であった.部位別では頭部が1例,体部が3例,尾部が6例であった.尾部がんの5例はCA19-9の異常が契機となり診断され,4例では治癒切除が可能であった. 結論:CA19-9の導入により,健診では従来報告されることのなかった切除可能な膵尾部がんが4例に認められた.費用対効果に問題はあるが,任意型健診のCA19-9測定は膵がんの早期検出に有用であると考える.
ISSN:1880-1021
2186-5027
DOI:10.11320/ningendock.32.26