PSA(Prostate specific antigen)免疫染色陰性肺・胸膜転移の原発が前立腺癌と診断された多重癌の 1 剖検例

胃癌(低分化腺癌)部分切除後で進行性前立腺癌のホルモン療法中の 68 歳,多重癌の男性。 胸部Cで右上葉末梢に孤立性陰影を認め, PET-CTで18F-FDG集積陽性を認めた。右胸水中の細胞診は陰性,しかし,CEA高値から多重癌からの転移,原発性肺癌が疑われた。積極的な治療は希望されず,一年後に呼吸不全で死亡した。剖検で肺・胸膜病変(中~高分化腺癌)の免疫染色を施行,TTF-1,PSAは共に陰性であったが,NKX3.1陽性で前立腺癌の肺・胸膜 転移と診断した。通常,前立腺癌からの転移を疑う場合にPSA値に注目しがちであるが,本例はPSAのみでは確定診断に至らなかった点で,今後は前立腺癌治療中の...

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Published inJAPANESE JOURNAL OF HOSPITAL GENERAL MEDICINE Vol. 19; no. 4; pp. 252 - 257
Main Authors 梅田, 啓, 島田, 尚登, 望月, 太一, 土橋, 洋, 岩本, 俊彦, 福崎, 篤
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本病院総合診療医学会 31.07.2023
JAPAN SOCIETY OF HOSPITAL GENERAL MEDICINE
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ISSN2185-8136
2758-7878
DOI10.60227/jhgmwabun.19.4_252

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Summary:胃癌(低分化腺癌)部分切除後で進行性前立腺癌のホルモン療法中の 68 歳,多重癌の男性。 胸部Cで右上葉末梢に孤立性陰影を認め, PET-CTで18F-FDG集積陽性を認めた。右胸水中の細胞診は陰性,しかし,CEA高値から多重癌からの転移,原発性肺癌が疑われた。積極的な治療は希望されず,一年後に呼吸不全で死亡した。剖検で肺・胸膜病変(中~高分化腺癌)の免疫染色を施行,TTF-1,PSAは共に陰性であったが,NKX3.1陽性で前立腺癌の肺・胸膜 転移と診断した。通常,前立腺癌からの転移を疑う場合にPSA値に注目しがちであるが,本例はPSAのみでは確定診断に至らなかった点で,今後は前立腺癌治療中の肺・胸膜腫瘍例において生検組織の免疫染色を行う場合,PSAだけにとらわれず,NKX3.1免疫染色を積極的に併用すべきであると考えられた。
ISSN:2185-8136
2758-7878
DOI:10.60227/jhgmwabun.19.4_252