核心温の指標としての尿温測定の意義

「はじめに」 ISO9886によると寒冷・暑熱環境下における個人が受ける生体負担を評価するための4種の生理測定方法として核心温, 皮膚温, 心拍数, 体重減少量が挙げられている1).また, 暑熱環境下におけるWet-Bulb GlobeTemperature Index(WBGT)の基準は直腸温38℃を許容限界として設定してあり2), 日本産業衛生学会の「許容濃度等の勧告」の寒冷の許容基準には, 直腸温などの中核部温は36℃以下にならないようにすべきであるとの記載がある3). 従って, 暑熱・寒冷環境における健康障害の防止において, 核心温の把握は重要である. 核心温の指標として食道温や直腸温...

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Published in産業衛生学雑誌 Vol. 50; no. 6; pp. 226 - 229
Main Authors 大和, 浩, 村瀬, 陽一, 太田, 雅規, 瀧上, 知恵子, 輪島, 尚人, 江口, 将史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本産業衛生学会 2008
日本産業衛生学会
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ISSN1341-0725
1349-533X
DOI10.1539/sangyoeisei.C8001

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Summary:「はじめに」 ISO9886によると寒冷・暑熱環境下における個人が受ける生体負担を評価するための4種の生理測定方法として核心温, 皮膚温, 心拍数, 体重減少量が挙げられている1).また, 暑熱環境下におけるWet-Bulb GlobeTemperature Index(WBGT)の基準は直腸温38℃を許容限界として設定してあり2), 日本産業衛生学会の「許容濃度等の勧告」の寒冷の許容基準には, 直腸温などの中核部温は36℃以下にならないようにすべきであるとの記載がある3). 従って, 暑熱・寒冷環境における健康障害の防止において, 核心温の把握は重要である. 核心温の指標として食道温や直腸温が知られているが, それらを用いて随時測定を行い健康障害の防止に利用することは困難である. 核心温を表すとされているものとしては, 上記のもの以外に尿の温度が考えられる1). 1970年代を中心に尿温についての検証がなされているが, 水銀柱を用いていたこと, 尿をためて測定する測定機器であったこと, 測定時間もかかっていたことから信憑性が高いとは言えなかった4, 5).
ISSN:1341-0725
1349-533X
DOI:10.1539/sangyoeisei.C8001