有胆嚢総胆管結石症例に対する経乳頭的内視鏡的治療と再発に関する検討

要旨:総胆管結石に対して初回内視鏡的治療を行った症例で,内視鏡的治療選択の妥当性と胆管結石再発症例について検討した.対象は1990年から2010年まで,胆嚢摘出後症例と予後不明症例を除く,初回経乳頭的内視鏡的治療を行った156例で,ESTによる切石は108例,EPBDによる切石は48例であった.術後膵炎に関してはEPBD群に多く認められたが,統計学的な有意差は無く,いずれも保存的加療で軽快した.胆管結石の再発はEST群が11例(10.2%),EPBD群が3例(6.3%)とEST群で多い傾向にあったが有意差は認めなかった.再発群14例と無再発群142例との比較では,胆管原発結石症例と胆嚢結石の無...

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Published inTando Vol. 25; no. 5; pp. 725 - 731
Main Authors 永野, 元章, 大谷, 和広, 旭吉, 雅秀, 矢野, 公一, 近藤, 千博, 大内田, 次郎, 藤井, 義郎, 千々岩, 一男, 甲斐, 真弘, 今村, 直哉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胆道学会 2011
Japan Biliary Association
Subjects
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ISSN0914-0077
1883-6879
DOI10.11210/tando.25.725

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Summary:要旨:総胆管結石に対して初回内視鏡的治療を行った症例で,内視鏡的治療選択の妥当性と胆管結石再発症例について検討した.対象は1990年から2010年まで,胆嚢摘出後症例と予後不明症例を除く,初回経乳頭的内視鏡的治療を行った156例で,ESTによる切石は108例,EPBDによる切石は48例であった.術後膵炎に関してはEPBD群に多く認められたが,統計学的な有意差は無く,いずれも保存的加療で軽快した.胆管結石の再発はEST群が11例(10.2%),EPBD群が3例(6.3%)とEST群で多い傾向にあったが有意差は認めなかった.再発群14例と無再発群142例との比較では,胆管原発結石症例と胆嚢結石の無い症例が再発群で有意に多く認められた.胆嚢摘出併施の有無に関しては施行しなかった症例が再発群に多い傾向にあったが有意差は無かった.総胆管結石症では胆管原発結石例と無石胆嚢といえども胆嚢摘出術非併施例において,再発に対する注意深い観察が必要と考えられる.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando.25.725