使用成績調査データベースを利用した高血圧患者における不眠症発症要因に関する検討

『緒言』 高血圧症は生活習慣病の代表的な疾患であり, 脳・心血管疾患などの生命予後に係わる合併症を惹起することが知られている1,2). これら合併症の発症を予防するには, 血圧値を降圧薬で適切な値に管理することが重要である3,4). 一方, 不眠症は高血圧症の発症・増悪要因であることが指摘されている5-7). 不眠症の発症には環境, 身体疾患, そして薬剤が関与する. 高血圧症治療に用いる降圧薬8), 特にβ遮断薬9,10)も要因の1つとして報告されている. 降圧薬を服用している高血圧患者は降圧薬で高血圧症を治療しているにもかかわらず, 不眠症の発症により高血圧症が増悪して, 脳・心血管疾患の...

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Published inYAKUGAKU ZASSHI Vol. 131; no. 5; pp. 669 - 677
Main Authors 田邉, 直人, 藤田, 利治, 藤井, 陽介, 折井, 孝男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本薬学会 01.05.2011
日本薬学会
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Summary:『緒言』 高血圧症は生活習慣病の代表的な疾患であり, 脳・心血管疾患などの生命予後に係わる合併症を惹起することが知られている1,2). これら合併症の発症を予防するには, 血圧値を降圧薬で適切な値に管理することが重要である3,4). 一方, 不眠症は高血圧症の発症・増悪要因であることが指摘されている5-7). 不眠症の発症には環境, 身体疾患, そして薬剤が関与する. 高血圧症治療に用いる降圧薬8), 特にβ遮断薬9,10)も要因の1つとして報告されている. 降圧薬を服用している高血圧患者は降圧薬で高血圧症を治療しているにもかかわらず, 不眠症の発症により高血圧症が増悪して, 脳・心血管疾患の発症リスクが増大する可能性がある. 一般に, 不眠症はバルビツール酸系製剤, ベンゾジアゼピン系製剤及び非ベンゾジアゼピン系製剤などの睡眠薬を用いることで治療が可能である. 不眠症を合併した高血圧患者が睡眠薬を服用すると不眠症のみならず血圧値も改善するとの報告がある11,12).
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.131.669