肝外胆管癌における胆管切除断端の予後因子としての意義

要旨: 75例の肝外胆管癌切除例を対象とし,胆管断端陽性例の特徴および予後を検討した.非治癒切除16例のうち胆管断端が陽性であったものは10例,うち8例では胆管断端陽性のみが非治癒となった因子であった.腫瘍の肉眼型では平坦型の43%が胆管断端陽性となった.切除例全体の単変量解析では,組織学的胆管周囲進展度,総合的進行度,リンパ節転移が予後因子であったが,胆管断端における癌の遺残は予後に影響を与えなかった.リンパ節転移陰性かつ剥離面陰性の症例に限って検討した場合,胆管断端陽性例は陰性例に比し有意に予後が不良であった.胆管断端はリンパ節転移陰性かつ剥離面陰性の症例においては予後因子としての意義があ...

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Published in胆道 Vol. 23; no. 5; pp. 749 - 755
Main Authors 大谷, 和広, 千々岩, 一男, 甲斐, 真弘, 永野, 元章, 大内田, 次郎, 近藤, 千博, 今村, 直哉, 旭吉, 雅秀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胆道学会 2009
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Summary:要旨: 75例の肝外胆管癌切除例を対象とし,胆管断端陽性例の特徴および予後を検討した.非治癒切除16例のうち胆管断端が陽性であったものは10例,うち8例では胆管断端陽性のみが非治癒となった因子であった.腫瘍の肉眼型では平坦型の43%が胆管断端陽性となった.切除例全体の単変量解析では,組織学的胆管周囲進展度,総合的進行度,リンパ節転移が予後因子であったが,胆管断端における癌の遺残は予後に影響を与えなかった.リンパ節転移陰性かつ剥離面陰性の症例に限って検討した場合,胆管断端陽性例は陰性例に比し有意に予後が不良であった.胆管断端はリンパ節転移陰性かつ剥離面陰性の症例においては予後因子としての意義があり,そのような症例においては可能な限り胆管断端陰性化を目指すべきであるが,リンパ節転移陽性例や剥離面陰性とならない症例に対しては,胆管断端の陰性化にこだわる意義は乏しいと思われた.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando.23.749