胆管炎症状で発症し急速な増大を示した胆嚢腺腫の一例

症例は84歳男性. 食後の悪心および心窩部痛, 発熱を主訴に受診し, 入院となった. 血液生化学検査では肝胆道系酵素の上昇とCRPの上昇を認め, 急性胆管炎と診断された. 腹部超音波検査では胆嚢内に12mm大のポリープを認め, 造影超音波検査ではポリープは造影効果良好であり, 血流豊富なポリープと考えられた. 腹部症状および血液生化学検査所見はすみやかに正常化した. 臨床所見からは胆石の自然排石に類似した経過であったが, 腹部超音波検査では胆嚢内に胆石を認めず, 血流の豊富なポリープの存在から, ポリープの一部が自然脱落し, 胆管炎症状を呈した可能性も考えられた. 高齢でもあり経過観察としたが...

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Published inTando Vol. 22; no. 5; pp. 676 - 681
Main Authors 杉浦, 信之, 秋池, 太郎, 伊藤, 健治, 西川, 貴雄, 阿部, 朝美, 森嶋, 友一, 有賀, 明子, 齊藤, 正明, 金田, 暁, 中野, 雅行
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胆道学会 2008
Japan Biliary Association
Subjects
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ISSN0914-0077
1883-6879
DOI10.11210/tando.22.676

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Summary:症例は84歳男性. 食後の悪心および心窩部痛, 発熱を主訴に受診し, 入院となった. 血液生化学検査では肝胆道系酵素の上昇とCRPの上昇を認め, 急性胆管炎と診断された. 腹部超音波検査では胆嚢内に12mm大のポリープを認め, 造影超音波検査ではポリープは造影効果良好であり, 血流豊富なポリープと考えられた. 腹部症状および血液生化学検査所見はすみやかに正常化した. 臨床所見からは胆石の自然排石に類似した経過であったが, 腹部超音波検査では胆嚢内に胆石を認めず, 血流の豊富なポリープの存在から, ポリープの一部が自然脱落し, 胆管炎症状を呈した可能性も考えられた. 高齢でもあり経過観察としたが, その後腹部超音波検査で24mm大とポリープが増大したため, 悪性の可能性もあり外科にて胆嚢摘出術を施行した. 病理組織所見は有茎性の絨毛状管状腺腫であった. 一部に出血の痕跡も認められ, ポリープの一部が自然脱落した可能性を示唆する所見であった.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando.22.676