精神分裂病者の結婚状態について

当院外来にて, 通院治療を受けている精神分裂病者のうち, 発病後結婚した41人(男性15人, 女性26人)について, 主として社会適応面から調査し報告した. 男性では, 晩婚で見合結婚が多かつたが, 女性では, 結婚年令は25~29才, 35才以上が多く二峯性を示し, 又恋愛結婚, 見合結婚はほぼ同数であつた. 結婚の機会は女性の方に多かつた. 結婚に際して, 相手に疾病を知らせた者は女性に多く, 知らせなかつた者は男性に多かつた. しかし離婚例はすべて女性患者であり, 結婚生活における女性の立場は弱かつた. 社会適応状況, 就労状況は女性が良く, 妻, 母としての役割を良く演じていたが, 男...

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Published in医療 Vol. 37; no. 4; pp. 394 - 398
Main Author 石垣, 一彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 1983
医療同好会
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Summary:当院外来にて, 通院治療を受けている精神分裂病者のうち, 発病後結婚した41人(男性15人, 女性26人)について, 主として社会適応面から調査し報告した. 男性では, 晩婚で見合結婚が多かつたが, 女性では, 結婚年令は25~29才, 35才以上が多く二峯性を示し, 又恋愛結婚, 見合結婚はほぼ同数であつた. 結婚の機会は女性の方に多かつた. 結婚に際して, 相手に疾病を知らせた者は女性に多く, 知らせなかつた者は男性に多かつた. しかし離婚例はすべて女性患者であり, 結婚生活における女性の立場は弱かつた. 社会適応状況, 就労状況は女性が良く, 妻, 母としての役割を良く演じていたが, 男性は経済的社会的役割を期待されながらも, 十分その任務を果していなかつた. 彼らの結婚生活の水準は, 概して低い段階に留まつていた.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.37.394