腎不全を合併した脳卒中患者の治療戦略

脳神経外科医であれば腎不全患者に合併する脳出血やくも膜下出血の治療に難渋することは, 一度ならず経験するところである. 本邦では移植医療の遅れが影響し, 全世界の血液透析患者の4分の1と多くの血液透析患者を抱えている以上, その合併症の治療の開発もわが国の医療界に課せられた使命と考える. 今回, 当施設で経験した腎不全を合併した脳卒中患者40例の治療法と治療成績を検討し, 治療戦略について若干の考案を加えて報告する. 対象および方法 過去15年間に横浜市立大学医学部附属病院, 横浜市立大学医学部附属浦舟病院救命救急センターおよび茅ヶ崎徳洲会総合病院に入院した腎不全を合併したくも膜下出血と脳出血...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 28; no. 4; pp. 248 - 253
Main Authors 権藤, 学司, 山中, 祐路, 藤井, 聡, 山本, 勇夫, 高木, 信嘉, 鈴木, 範行, 杉山, 貢, 細田, 浩道
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 2000
日本脳卒中の外科学会
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Summary:脳神経外科医であれば腎不全患者に合併する脳出血やくも膜下出血の治療に難渋することは, 一度ならず経験するところである. 本邦では移植医療の遅れが影響し, 全世界の血液透析患者の4分の1と多くの血液透析患者を抱えている以上, その合併症の治療の開発もわが国の医療界に課せられた使命と考える. 今回, 当施設で経験した腎不全を合併した脳卒中患者40例の治療法と治療成績を検討し, 治療戦略について若干の考案を加えて報告する. 対象および方法 過去15年間に横浜市立大学医学部附属病院, 横浜市立大学医学部附属浦舟病院救命救急センターおよび茅ヶ崎徳洲会総合病院に入院した腎不全を合併したくも膜下出血と脳出血患者を抽出し, このうち入院後1週間以内に血液透析, 血液路濾過あるいは腹膜透析を施行した40例を検討対象とした. 40例の平均年齢は54. 5歳で, 男性が28例, 女性が12例で, 脳卒中の内訳は, 脳出血26例, くも膜下出血12例, 脳室内出血1例, 出血性脳梗塞1例であった. 腎不全は, 以前から血液透析中の慢性腎不全が35例, 脳卒中を契機に慢性腎炎が悪化したものが5例であった.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs1987.28.4_248