介護老人保健施設における転倒・転落事故予防の課題

介護保険施設の中でも介護老人保健施設(以下,老健)の入所高齢者は,自立を目指して機能訓練を行っており,動くことができる高齢者が多いという点で転倒・転落(以下,転倒)のリスクが高い。加えて,老健は,入所期間が限定されているため,入退所が多く,時間をかけて入所者の把握をすることが難しい。これらのことから,老健はほかの介護保険施設に比べ,転倒予防の必要性が高い施設といえる。 しかし,これまで,転倒を予測する因子は,転倒する当事者の要因である内的要因の検討が主であった。外的要因では主に環境があるが,施設に関してはそれ以外の要因もあると予測されたものの,これまで系統だった検討はされていない。そのため,ア...

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Published in日本転倒予防学会誌 Vol. 5; no. 1; pp. 61 - 63
Main Authors 鈴木, みずえ, 梅原, 里実, 杉山, 智子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本転倒予防学会 10.06.2018
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ISSN2188-5702
2188-5710
DOI10.11335/tentouyobou.5.1_61

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Summary:介護保険施設の中でも介護老人保健施設(以下,老健)の入所高齢者は,自立を目指して機能訓練を行っており,動くことができる高齢者が多いという点で転倒・転落(以下,転倒)のリスクが高い。加えて,老健は,入所期間が限定されているため,入退所が多く,時間をかけて入所者の把握をすることが難しい。これらのことから,老健はほかの介護保険施設に比べ,転倒予防の必要性が高い施設といえる。 しかし,これまで,転倒を予測する因子は,転倒する当事者の要因である内的要因の検討が主であった。外的要因では主に環境があるが,施設に関してはそれ以外の要因もあると予測されたものの,これまで系統だった検討はされていない。そのため,アセスメントツールの開発の前にあらゆる転倒事故をもたらす要因を洗い出す上で,転倒予防に関わる施設管理・システムの実態を明らかにする必要があると考えた。 そこでまず,老健スタッフへの転倒事故予防を行う上での現状についてヒアリングを行ったところ,「転倒リスクのアセスメントに関する内容」「連携に関連した内容」「施設特性に関連した内容」「スタッフ・職場環境や体制に関連した内容」の4 つに分類された。結果より,まずは,系統的だった検討が十分行われていない施設管理・システムの実態を把握する必要性があると考えられた。その上で,今後,老健における転倒・転落リスクアセスメントツールのあり方や位置づけを明確にし,効果的かつ有効に活用していくための方法や内容の工夫まで検討した上でのツール開発が求められると考えられた。
ISSN:2188-5702
2188-5710
DOI:10.11335/tentouyobou.5.1_61