ポリグラフ検査から見た生理心理学への期待と課題

ポリグラフ検査は,生理心理学の応用領域の一つである。「生理心理学の実社会応用」特集として,本稿では生理心理学の知見が,ポリグラフ検査をどのように支えているかを述べる。現在の日本のポリグラフ検査実務は,情報検出技術として隠匿情報検査(CIT)を用いており,世界でも独特の特徴を持っている。ポリグラフ検査は,応用を念頭においていない基礎的なものも含む生理心理学の諸知見に基づいている。一方,CITに関する応用志向の研究でもしばしば実務場面と関連性を持たないことがある。これらの例は,特定のパラダイムを越えた知見の一般化可能性と,技術が用いられる状況に関する知識の重要性を示す。最後に,日本の生理心理学に対...

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Published in生理心理学と精神生理学 Vol. 37; no. 1; pp. 28 - 37
Main Authors 小川, 時洋, 松田, いづみ, 常岡, 充子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本生理心理学会 30.03.2019
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Summary:ポリグラフ検査は,生理心理学の応用領域の一つである。「生理心理学の実社会応用」特集として,本稿では生理心理学の知見が,ポリグラフ検査をどのように支えているかを述べる。現在の日本のポリグラフ検査実務は,情報検出技術として隠匿情報検査(CIT)を用いており,世界でも独特の特徴を持っている。ポリグラフ検査は,応用を念頭においていない基礎的なものも含む生理心理学の諸知見に基づいている。一方,CITに関する応用志向の研究でもしばしば実務場面と関連性を持たないことがある。これらの例は,特定のパラダイムを越えた知見の一般化可能性と,技術が用いられる状況に関する知識の重要性を示す。最後に,日本の生理心理学に対する期待と課題についても論じる。
ISSN:0289-2405
2185-551X
DOI:10.5674/jjppp.1904si