結核症の将来展望

「日本の結核」(1)これまでの状況 近年における結核減少の足取りは, 図1のように実態調査や死亡率の, また図2のように, 患者の登録状況の推移に示される. 実態調査と登録状況における患者数の開きは, 登録もれと診断もれによるものであろうが, 昭和43年の実態調査と, 同年の登録患者数を年令別に対比してみると, 図3のようになる. 各年令層を通じて約半数しか登録されていないが, 10才以下では登録数の方が上回つている. これはおそらく未発病のツ反応陽転児の計上によるものであろう. 10才以上の全年令を通じて, 高年に至るまで登録数の方が少ないのは, 健保本人などの登録もれよりも, 診断もれの未...

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Published in医療 Vol. 26; no. 4; pp. 289 - 301
Main Author 島村, 喜久治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 1972
医療同好会
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Summary:「日本の結核」(1)これまでの状況 近年における結核減少の足取りは, 図1のように実態調査や死亡率の, また図2のように, 患者の登録状況の推移に示される. 実態調査と登録状況における患者数の開きは, 登録もれと診断もれによるものであろうが, 昭和43年の実態調査と, 同年の登録患者数を年令別に対比してみると, 図3のようになる. 各年令層を通じて約半数しか登録されていないが, 10才以下では登録数の方が上回つている. これはおそらく未発病のツ反応陽転児の計上によるものであろう. 10才以上の全年令を通じて, 高年に至るまで登録数の方が少ないのは, 健保本人などの登録もれよりも, 診断もれの未発見・潜在患者が多数いることを示している. それは, 人口対率からいえば, ことに45才以上の年令層に多い. いわれているように, これは結核対策の1つの死角であつたようである. ところで, 結核患者数が減少してきたため, 最近は図4のように, 登録感染性患者数と結核病床数が同数に接近してきた. しかし病床利用率は依然として低く, 登録された感染性患者に半数も入院していない.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.26.289