慢性腎臓病とメタボリックシンドロームおよび代謝性危険因子との間のcross-sectionalな関係
目的:メタボリックシンドロームは慢性腎臓病chronic kidney disease(CKD)の危険因子として報告されているが,CKDと相互に関連する代謝性危険因子との関係は複雑である.この関係を解析することが本研究の目的である. 方法:CKDの定義は推定糸球体濾過量(eGFR)60 mL/min/1.73m2未満,または,蛋白尿陽性とした.メタボリックシンドロームは日本人のための改定National Cholesterol Education Program診断基準(MS)と日本のメタボリックシンドローム診断基準検討委員会が決めた診断基準(JMS)で診断した.男性2,290人,女性1,36...
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Published in | 人間ドック Vol. 24; no. 3; pp. 707 - 716 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本人間ドック学会
2009
日本人間ドック学会 |
Subjects | |
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ISSN | 1880-1021 2186-5027 |
DOI | 10.11320/ningendock.24.707 |
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Summary: | 目的:メタボリックシンドロームは慢性腎臓病chronic kidney disease(CKD)の危険因子として報告されているが,CKDと相互に関連する代謝性危険因子との関係は複雑である.この関係を解析することが本研究の目的である. 方法:CKDの定義は推定糸球体濾過量(eGFR)60 mL/min/1.73m2未満,または,蛋白尿陽性とした.メタボリックシンドロームは日本人のための改定National Cholesterol Education Program診断基準(MS)と日本のメタボリックシンドローム診断基準検討委員会が決めた診断基準(JMS)で診断した.男性2,290人,女性1,360人の人間ドックデータを用いて,MS群と非MS群で代謝性危険因子とCKDの頻度を比較し,CKD診断のための代謝性危険因子のROC曲線下面積(AUC)を計算し,CKDを従属変数としたロジスティック回帰を施行し,糖尿病患者と降圧薬または脂質異常症治療薬の被投与者を除外して,eGFRと代謝性危険因子の間のSpearman順位相関係数を計算した. 結果:CKDの頻度は,非MS群に比べてMS群で有意に高かった.ロジスティック回帰では,JMSは有意な独立変数とはならず,男性では,年齢,BMI,LDLコレステロール,MSが,女性では,年齢,体脂肪率,MSが有意な独立変数となった.eGFRは,男性では,年齢,BMI,腹囲,収縮期血圧,拡張期血圧,空腹時血糖,LDLコレステロール,ヘモグロビンA1c,%肺活量との間に有意な負の相関を認め,gamma glutamyltransferase (GGT)および心拍数との間に有意な正の相関を認めた.女性では,年齢,BMI,腹囲,拡張期血圧,中性脂肪,高感度CRP,GGT,alanine aminotransferase,LDLコレステロール,ヘモグロビンA1c,%肺活量との間に有意な負の相関を認め,心拍数との間に有意な正の相関を認めた. 結論:JMSはCKDに関係するが,有意な独立変数とはならず,代謝性危険因子の中で,男性ではMSとBMIとLDLコレステロールが,女性ではMSと体脂肪率が独立にCKDと関係した. |
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ISSN: | 1880-1021 2186-5027 |
DOI: | 10.11320/ningendock.24.707 |