低用量アスピリンによる消化管障害に対する酸分泌阻害薬の抑制効果に関する検討

「緒言」アスピリンは抗血小板作用を有し, 血栓性疾患において血栓形成の再発予防に低用量で用いられている. 1)抗血小板作用は, アスピリンがシクロオキシゲナーゼ(以下, COX)-1を非可逆的に阻害し, 血小板におけるトロンボキサンA2の生成を抑制することにより発揮される. 2)その一方で, COX-1の非可逆的阻害は, アスピリンによる消化管障害の発現要因の1つとして考えられている. 3)COX-1は胃の粘膜上皮細胞に恒常的に発現していることが知られており, アラキドン酸からプロスタグランジン(以下, PG)E2が生成される際の酵素として作用している. PGE2は, 胃粘液の分泌促進, 胃粘...

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Published inYAKUGAKU ZASSHI Vol. 131; no. 3; pp. 445 - 452
Main Authors 徳岡, 健太郎, 北川, 泰久, 山田, 安彦, 渡邊, 昌之, 横山, 晴子, 鈴木, 優司, 中村, 浩規, 矢口, 武廣
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本薬学会 01.03.2011
日本薬学会
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ISSN0031-6903
1347-5231
DOI10.1248/yakushi.131.445

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Summary:「緒言」アスピリンは抗血小板作用を有し, 血栓性疾患において血栓形成の再発予防に低用量で用いられている. 1)抗血小板作用は, アスピリンがシクロオキシゲナーゼ(以下, COX)-1を非可逆的に阻害し, 血小板におけるトロンボキサンA2の生成を抑制することにより発揮される. 2)その一方で, COX-1の非可逆的阻害は, アスピリンによる消化管障害の発現要因の1つとして考えられている. 3)COX-1は胃の粘膜上皮細胞に恒常的に発現していることが知られており, アラキドン酸からプロスタグランジン(以下, PG)E2が生成される際の酵素として作用している. PGE2は, 胃粘液の分泌促進, 胃粘膜血流量の増加及び胃酸の分泌抑制に関与する生理活性物質であるため, アスピリンの投与によりCOX-1が阻害されて胃粘膜上皮細胞のPGE2量が減少し, 消化管障害が引き起こされると考えられている.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.131.445