人間ドック受診者におけるN-terminal pro-brain natriuretic peptide測定の意義

目的:N-terminal pro-brain natriuretic peptide(NT-proBNP)は,心不全の診断,治療効果判定,予後の指標として,臨床において重要なバイオマーカーとして確立されているが,健診における役割についてはまだ不明である.そこで,人間ドックにおけるNT-proBNP測定の意義について検討した. 方法:2009年1月15日から3月9日まで,当協会の人間ドックを受診された5,084人を調査対象とし,腎不全(クレアチニン2mg/dL以上),心疾患や高血圧にて治療中の受診者を除外した4,225人を,年齢,性別,血圧,血液データ,心電図所見とNT-proBNPとの関係を...

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Published in人間ドック Vol. 26; no. 1; pp. 62 - 70
Main Authors 小林, 隆司, 笹川, 力, 松田, 和博, 加藤, 公則, 小林, 篤子, 中原, 寿子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本人間ドック学会 2011
日本人間ドック学会
Subjects
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ISSN1880-1021
2186-5027
DOI10.11320/ningendock.26.62

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Summary:目的:N-terminal pro-brain natriuretic peptide(NT-proBNP)は,心不全の診断,治療効果判定,予後の指標として,臨床において重要なバイオマーカーとして確立されているが,健診における役割についてはまだ不明である.そこで,人間ドックにおけるNT-proBNP測定の意義について検討した. 方法:2009年1月15日から3月9日まで,当協会の人間ドックを受診された5,084人を調査対象とし,腎不全(クレアチニン2mg/dL以上),心疾患や高血圧にて治療中の受診者を除外した4,225人を,年齢,性別,血圧,血液データ,心電図所見とNT-proBNPとの関係を検討した.次に,NT-proBNP高値者(109 pg/mL以上)の割合を,高血圧,心電図異常の有無で検討した. 結果:年齢,性別,収縮期血圧,LDL-C,アルブミン,赤血球数,空腹時血糖,高感度CRP,上室性期外収縮,心室性期外収縮,左脚ブロック,心房粗細動,左室肥大が有意に独立してNT-proBNPと関連していた.NT-proBNP高値群の割合は,正常血圧や心電図異常がない受診者では5%前後であったが,高血圧や左室肥大では10%,心房粗細動では60%であった. 結論:以上より,NT-proBNP測定は,人間ドックにおいても有用な検査である.
ISSN:1880-1021
2186-5027
DOI:10.11320/ningendock.26.62