外来患者における癌化学療法適正化のための薬剤師の役割とその評価
新たな抗癌剤開発による癌化学療法選択肢の拡大, 日常生活を営みながらの通院希望, 在院日数の短縮化などにより, 近年, 外来で癌化学療法を受ける患者が飛躍的に増加している. このため, 当院においても外来処置室における慢性的なベッド不足の発生, あるいは繁雑な外来診療と並行しながらの抗癌剤調製及び投与が患者サービス面, 医療安全面から問題になっていた. 一方, 特定機能病院に導入された入院医療に対する包括評価によって, 入院患者に対する抗癌剤の無菌製剤処理加算が算定できなくなり, 薬剤師による無菌調製は病院経営面でも一歩後退を余儀なくされている. これらの問題を解決するには, 外来に癌化学療法...
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Published in | YAKUGAKU ZASSHI Vol. 124; no. 3; pp. 149 - 157 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本薬学会
01.03.2004
日本薬学会 |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0031-6903 1347-5231 |
DOI | 10.1248/yakushi.124.149 |
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Summary: | 新たな抗癌剤開発による癌化学療法選択肢の拡大, 日常生活を営みながらの通院希望, 在院日数の短縮化などにより, 近年, 外来で癌化学療法を受ける患者が飛躍的に増加している. このため, 当院においても外来処置室における慢性的なベッド不足の発生, あるいは繁雑な外来診療と並行しながらの抗癌剤調製及び投与が患者サービス面, 医療安全面から問題になっていた. 一方, 特定機能病院に導入された入院医療に対する包括評価によって, 入院患者に対する抗癌剤の無菌製剤処理加算が算定できなくなり, 薬剤師による無菌調製は病院経営面でも一歩後退を余儀なくされている. これらの問題を解決するには, 外来に癌化学療法専用の部屋を準備し, 処方箋, 注射薬の流れ, プロトコールのチェックや注射薬調剤, 抗癌剤の無菌調製, 患者への情報提供など, あらゆる面で薬剤師が中心的な役割を果たすことが望ましい. 2002年3月当院に設置された癌化学療法専用の治療室(以下外来点滴室)における薬剤師の活動を抗癌剤の適正使用, 医療事故防止あるいは病院経営面から評価しておくことは, 癌化学療法の質向上を目指す上で重要となる. |
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ISSN: | 0031-6903 1347-5231 |
DOI: | 10.1248/yakushi.124.149 |