脳梗塞急性期の患者血清を用いた脳血管平滑筋細胞増殖に対する ラジカル·スカベンジャー,エダラボンの効果とアムロジピンの Pleiotropic 作用による影響

近年の脳梗塞病態解明の研究により, 血流の完全な遮断により壊死に陥った神経組織周囲に存在する不完全な虚血部位(ペナンブラ, penumbra)の脳神経細胞の保護や, 梗塞血管の自発的又は薬物による線溶系活性の亢進により閉塞血管が再開通した後に生じる出血性梗塞や高度の浮腫病変の治療が重要視されるようになった. 1, 2)これらの病態には, ペナンブラ領域及び再還流領域の神経及びグリア細胞から発生する活性酸素種(reactive oxygen species, ROS)の過剰生成に伴う酸化ストレスが深く関与しているため, ROSの薬理学的消去は, 上記の脳虚血病態への新しい治療薬となる可能性がある...

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Published inYAKUGAKU ZASSHI Vol. 124; no. 1; pp. 25 - 29
Main Authors 平賀, 正純, 小林, 高義, 大石, 一彦, 内田, 幸宏, 越前, 宏俊, 山口, 友明, 井田, 隆
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本薬学会 01.01.2004
日本薬学会
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ISSN0031-6903
1347-5231
DOI10.1248/yakushi.124.25

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Summary:近年の脳梗塞病態解明の研究により, 血流の完全な遮断により壊死に陥った神経組織周囲に存在する不完全な虚血部位(ペナンブラ, penumbra)の脳神経細胞の保護や, 梗塞血管の自発的又は薬物による線溶系活性の亢進により閉塞血管が再開通した後に生じる出血性梗塞や高度の浮腫病変の治療が重要視されるようになった. 1, 2)これらの病態には, ペナンブラ領域及び再還流領域の神経及びグリア細胞から発生する活性酸素種(reactive oxygen species, ROS)の過剰生成に伴う酸化ストレスが深く関与しているため, ROSの薬理学的消去は, 上記の脳虚血病態への新しい治療薬となる可能性がある. 3, 4)エダラボン(edaravone)は, 比較的小分子(分子量174ダルトン)の化合物で, 動態的に良好な脳組織移行性があり, 虚血脳組織にてROSに電子を供与しラジカルを消去する. 5, 6)急性脳虚血動物モデルでは, 脳虚血及び再灌流障害病態における血管内皮細胞障害を抑制し, 神経細胞及びグリア細胞膜脂質の過酸化反応を抑制し得ることが報告されている.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.124.25