急性ストレス負荷による唾液中分泌型免疫グロブリンAの時系列的変化

本研究では,実験室での急性ストレス課題に対する唾液中の免疫グロブリンA(s-IgA)の反応について,時系列的な変化を検討した。29名の実験参加者が,1 週間おきに三つの課題-能動的対処を要するストレス課題として暗算,受動的対処を要するストレス課題として寒冷昇圧,統制課題として中性映像の視聴-に取り組んだ。各実験条件について,安静期,課題期,回復期にわたって計5回唾液検体を採取した。実験の結果,暗算条件においてs-IgA分泌量は,統制条件に比べて課題の前半に有意に減少し,課題終了直後に有意に増加した。これに対して,寒冷昇圧条件においてs-IgA分泌量は,統制条件に比べて課題終了直後に有意に減少し...

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Published in生理心理学と精神生理学 Vol. 29; no. 3; pp. 193 - 203
Main Authors 藤原, 修治, 余語, 真夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本生理心理学会 31.12.2011
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Summary:本研究では,実験室での急性ストレス課題に対する唾液中の免疫グロブリンA(s-IgA)の反応について,時系列的な変化を検討した。29名の実験参加者が,1 週間おきに三つの課題-能動的対処を要するストレス課題として暗算,受動的対処を要するストレス課題として寒冷昇圧,統制課題として中性映像の視聴-に取り組んだ。各実験条件について,安静期,課題期,回復期にわたって計5回唾液検体を採取した。実験の結果,暗算条件においてs-IgA分泌量は,統制条件に比べて課題の前半に有意に減少し,課題終了直後に有意に増加した。これに対して,寒冷昇圧条件においてs-IgA分泌量は,統制条件に比べて課題終了直後に有意に減少した。これらの結果は,能動的対処課題と受動的対処課題を実施した際のs-IgAの測定値が,唾液採取のタイミングにより影響を受けることを示している。
ISSN:0289-2405
2185-551X
DOI:10.5674/jjppp.1115oa