分子振動領域の新しいレーザー診断・治療

今般学会誌特集号として「分子振動領域の新しいレーザー診断治療」を取り上げることとなり, 自由電子レーザーをはじめとする波長可変赤外レーザーにより可能となる新しい診断`治療領域を概説することが重要であると考えた. 周知のようにMaimanによるレーザー発振以来, レーザーの医療応用は大きな進歩を遂げており, 臨床において多種のレーザーが従来の治療法と変わりうるものとなっている. 特に, 赤外レーザーは低侵襲治療を実現できるとして最近特に注目を集めている. 一般に分子の持つ熱エネルギーは, 分子全体の並進運動と分子内運動(分子内の各々結合間の振動運動, 回転運動, 変角運動)から成り立っている....

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本レーザー医学会誌 Vol. 25; no. 2; pp. 79 - 82
Main Authors 粟津, 邦男, 鈴木-吉橋, 幸子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本レーザー医学会 2004
日本レーザー医学会
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:今般学会誌特集号として「分子振動領域の新しいレーザー診断治療」を取り上げることとなり, 自由電子レーザーをはじめとする波長可変赤外レーザーにより可能となる新しい診断`治療領域を概説することが重要であると考えた. 周知のようにMaimanによるレーザー発振以来, レーザーの医療応用は大きな進歩を遂げており, 臨床において多種のレーザーが従来の治療法と変わりうるものとなっている. 特に, 赤外レーザーは低侵襲治療を実現できるとして最近特に注目を集めている. 一般に分子の持つ熱エネルギーは, 分子全体の並進運動と分子内運動(分子内の各々結合間の振動運動, 回転運動, 変角運動)から成り立っている. これら分子内の各部位の運動モードはそれぞれ量子化されており, 特定の波長の光を吸収して励起される. たとえば, 水は特定の波長の赤外線を吸収して温度が上昇する. これは, 水には, 0-H結合間の伸縮運動, H-0-H結合間の変角運動, 軸まわりの回転運動などの運動モードがあり, これらの特定部位の運動モードは3μmや5.7μm付近の波長の赤外光を選択的に吸収して低い準位から高い準位に遷移する.
ISSN:0288-6200
1881-1639
DOI:10.2530/jslsm.25.79