膠原病患者におけるグルココルチコイド製剤による副作用発現に関する実態調査

「緒言」 膠原病の薬物治療に用いられるグルココルチコイド(GC)は, 疾患の活動期にしばしば高用量で投与されるが, GC誘発性副作用(糖尿病, 高脂血症, 感染症, 骨粗鬆症, 消化性潰瘍など)の発現頻度が高いため, 副作用症状の重篤化を防ぐことが治療を進める上で重要である. 1)膠原病患者を対象とし, GC誘発性副作用について1965年に行われた調査では, 患者の61.2%に副作用が発現し, 消化性潰瘍を含む消化器症状が最も多かった. 2)1975年に行われた調査では, 皮膚症状, 満月様顔貌が多く, 消化性潰瘍を含む消化器症状はそれらに次ぐ発症率であった. 2)その後, GC誘発性副作用の...

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Published inYAKUGAKU ZASSHI Vol. 129; no. 4; pp. 445 - 450
Main Authors 土岐, 浩介, 齋藤, 玲子, 住田, 孝之, 本間, 真人, 中島, 綾, 寒河江, 照美, 伊藤, 聡, 幸田, 幸直
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本薬学会 01.04.2009
日本薬学会
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ISSN0031-6903
1347-5231
DOI10.1248/yakushi.129.445

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Summary:「緒言」 膠原病の薬物治療に用いられるグルココルチコイド(GC)は, 疾患の活動期にしばしば高用量で投与されるが, GC誘発性副作用(糖尿病, 高脂血症, 感染症, 骨粗鬆症, 消化性潰瘍など)の発現頻度が高いため, 副作用症状の重篤化を防ぐことが治療を進める上で重要である. 1)膠原病患者を対象とし, GC誘発性副作用について1965年に行われた調査では, 患者の61.2%に副作用が発現し, 消化性潰瘍を含む消化器症状が最も多かった. 2)1975年に行われた調査では, 皮膚症状, 満月様顔貌が多く, 消化性潰瘍を含む消化器症状はそれらに次ぐ発症率であった. 2)その後, GC誘発性副作用の発現状況は変化し, 現在では長期投与による糖尿病, 高血圧, 血清脂質代謝異常などの副作用が注目されるようになった. 3)このように, 注意すべきGC誘発性の副作用の種類, 頻度及び発現時期は, 治療法や治療薬の進歩などにより変化している.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.129.445