移植早期膵島障害機序の解明と新規制御法開発

2000年の臨床膵島移植成功例の報告以来,欧米を中心に移植症例数が増加している.膵島移植の適応は1型糖尿病であり,中でもインスリン治療で血糖管理が困難な症例が対象になる.現在までに1回の膵島移植でレシピエントの血糖安定化が得られ,HbA1cも正常化する事が判明している.しかしながら,移植後にインスリン治療より離脱するには2~3回,すなわち2~3人分のドナー膵臓が必要で,この事が臨床膵島移植で解決すべき最大の課題となっている.この問題は言い換えれば生着した移植膵島数(量)が不十分である事を反映しており,その解決策は如何にして十分量のドナー膵島を確保し,移植後のドナー膵島喪失を最小限にするかという...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in膵臓 Vol. 26; no. 2; pp. 183 - 189
Main Authors 米良, 利之, 小玉, 正太, 安波, 洋一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本膵臓学会 2011
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:2000年の臨床膵島移植成功例の報告以来,欧米を中心に移植症例数が増加している.膵島移植の適応は1型糖尿病であり,中でもインスリン治療で血糖管理が困難な症例が対象になる.現在までに1回の膵島移植でレシピエントの血糖安定化が得られ,HbA1cも正常化する事が判明している.しかしながら,移植後にインスリン治療より離脱するには2~3回,すなわち2~3人分のドナー膵臓が必要で,この事が臨床膵島移植で解決すべき最大の課題となっている.この問題は言い換えれば生着した移植膵島数(量)が不十分である事を反映しており,その解決策は如何にして十分量のドナー膵島を確保し,移植後のドナー膵島喪失を最小限にするかという点に集約される.本稿では後者の移植膵島障害,特に移植早期(24時間以内)に発現する膵島移植特有の自然免疫拒絶反応の機序,ならびに制御法について,我々が見出した知見について報告する.
ISSN:0913-0071
1881-2805
DOI:10.2958/suizo.26.183