同種造血幹細胞移植患者における多剤耐性緑膿菌による感染症治療

「緒言」医療技術の進歩に伴い, 免疫不全状態の患者や感染防御能力の低下した易感染宿主が増加しており, 現在ではmethiciline-resistant Staphylococcus aureus(MRSA)に代表される多剤耐性菌による日和見感染症が大きな問題となっている. 近年, 多剤耐性緑膿菌(multiple-drug-resistant Pseudomonas aeruginosa:MDRP)による感染症の増加が懸念されている. 特に易感染宿主において, MDRPによる感染症は致死的である. MDRPは, 従来から緑膿菌に対して強い抗菌活性を示してきたカルバペネム系, ニューキノロン系...

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Published inYAKUGAKU ZASSHI Vol. 128; no. 4; pp. 657 - 661
Main Authors 大西, 宏明, 山口, 佳津騎, 加地, 雅人, 河添, 仁, 二宮, 昌樹, 田中, 裕章, 石田, 俊彦, 辻, 繁子, 芳地, 一, 滝口, 祥令, 井上, 達也, 福岡, 憲泰
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本薬学会 01.04.2008
日本薬学会
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ISSN0031-6903
1347-5231
DOI10.1248/yakushi.128.657

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Summary:「緒言」医療技術の進歩に伴い, 免疫不全状態の患者や感染防御能力の低下した易感染宿主が増加しており, 現在ではmethiciline-resistant Staphylococcus aureus(MRSA)に代表される多剤耐性菌による日和見感染症が大きな問題となっている. 近年, 多剤耐性緑膿菌(multiple-drug-resistant Pseudomonas aeruginosa:MDRP)による感染症の増加が懸念されている. 特に易感染宿主において, MDRPによる感染症は致死的である. MDRPは, 従来から緑膿菌に対して強い抗菌活性を示してきたカルバペネム系, ニューキノロン系, アミノグリコシド系の3系統の抗菌薬に対し, すべて耐性の緑膿菌であり, 1, 2)日本において, 現実的には単独で有効性が期待できる抗菌薬がないことを意味する. したがって, 抗菌薬の併用療法が現時点で対応可能な治療戦略となるが, in vitroにおける抗菌薬の有効な併用効果の報告はあるものの, 3-5)海外においても明確な治療ガイドラインはなく, 実施医療において苦慮しているのが現状である.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.128.657