ウイルス肝炎の対策

肝炎ウイルスがようやく見つかつた. 見つかつたからには, 原因指向の対策が待つている. 予防にはすでに自信がある. 種痘がJennerから数えて200年, 天然痘ウイルスはもうこの世には居ない. B型ウィルスにもワクチンができたからには, その期待は十分, WHOも関心を示し始めている. 院内感染の予防にも, γ-グロブリン(HBIG)を含めてその効果は抜群である. 母児感染の予防にもようやくその機運は上々, とくにアジアの病気だけに熱がこもる. 治療についても, ウイルス無き時代とは違つて, いくつか原因療法を指向する手段が開発されつつある. インターフエロン, Ara-Aのほか, 肝細胞の...

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Published in医療 Vol. 37; no. 6; pp. 553 - 557
Main Author 織田, 敏次
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 1983
医療同好会
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ISSN0021-1699
1884-8729
DOI10.11261/iryo1946.37.553

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Summary:肝炎ウイルスがようやく見つかつた. 見つかつたからには, 原因指向の対策が待つている. 予防にはすでに自信がある. 種痘がJennerから数えて200年, 天然痘ウイルスはもうこの世には居ない. B型ウィルスにもワクチンができたからには, その期待は十分, WHOも関心を示し始めている. 院内感染の予防にも, γ-グロブリン(HBIG)を含めてその効果は抜群である. 母児感染の予防にもようやくその機運は上々, とくにアジアの病気だけに熱がこもる. 治療についても, ウイルス無き時代とは違つて, いくつか原因療法を指向する手段が開発されつつある. インターフエロン, Ara-Aのほか, 肝細胞の栄養学, 免疫機構のmodulationまで企図されている. 抗ウイルス治療が抗細菌のそれに比べると難しいことは事実である. しかし, まつたく策のなかつた昔とは違う. あくまで楽天的でありたいとも思う.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.37.553