USにおける胆管壁の内側低エコー層の肥厚像が診断契機となった無黄疸早期胆管癌の1例

要旨:症例は78歳,男性.膀胱癌術後の経過観察目的にUSを施行したところ,中部から上部胆管壁に限局性の内側低エコー層の肥厚を認めた.自覚症状や血液生化学検査の異常はなく,CTでは胆管壁に明らかな異常を指摘できなかった.ERCにて中部から上部胆管のわずかな偏側性硬化像を,腔内超音波検査ではERCの硬化像にほぼ一致して左右肝管分岐部の直下より偏側性の内側低エコー層の肥厚像を認め,十二指腸側の胆嚢管分岐部近傍には丈の低い隆起性病変を伴っていた.胆管癌を考慮し胆汁細胞診を施行したところ癌細胞陽性であった.経口胆道鏡では,胆嚢管合流部近傍の粘膜血管の不整・増生像を伴う丈の低い隆起性病変と左右肝管分岐部近...

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Published inTando Vol. 24; no. 1; pp. 98 - 104
Main Authors 岡庭, 信司, 堀米, 直人, 持塚, 章芳, 中村, 喜行, 伊藤, 信夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胆道学会 2010
Japan Biliary Association
Subjects
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ISSN0914-0077
1883-6879
DOI10.11210/tando.24.98

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Summary:要旨:症例は78歳,男性.膀胱癌術後の経過観察目的にUSを施行したところ,中部から上部胆管壁に限局性の内側低エコー層の肥厚を認めた.自覚症状や血液生化学検査の異常はなく,CTでは胆管壁に明らかな異常を指摘できなかった.ERCにて中部から上部胆管のわずかな偏側性硬化像を,腔内超音波検査ではERCの硬化像にほぼ一致して左右肝管分岐部の直下より偏側性の内側低エコー層の肥厚像を認め,十二指腸側の胆嚢管分岐部近傍には丈の低い隆起性病変を伴っていた.胆管癌を考慮し胆汁細胞診を施行したところ癌細胞陽性であった.経口胆道鏡では,胆嚢管合流部近傍の粘膜血管の不整・増生像を伴う丈の低い隆起性病変と左右肝管分岐部近傍から膵上縁にかけて広範な胆管粘膜の不整像を認めた.病理組織学的には中部から上部胆管および胆嚢管の一部にかけて広範な粘膜内進展を伴う表面隆起型の早期胆管癌であった.胆管壁の内側低エコー層の肥厚は表面隆起型胆管癌の拾い上げに有用な所見と考えられた.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando.24.98