高齢者破裂脳動脈瘤手術例の術後管理の問題点

高齢化社会を迎え, 臨床上高齢者くも膜下出血に遭遇する機会が増加しているが, 最近では高齢者破裂脳動脈瘤に対しても積極的に直達手術が行われる傾向にある. しかし, 若年者と異なり治療に難渋することが多い. 特に経過中に起こるさまざまな全身合併症は術後管理を困難にするばかりか, 転帰不良原因となることも少なくない. 今回, 高齢者破裂脳動脈瘤手術例の術後の問題点をより明確にするために, 特に全身状態に注目して白験例の検討を行った. 症例および方法 これまでのわれわれの高齢者破裂脳動脈瘤に対する治療方針は, 基本的に若年者と同様で, 発症前に自立した日常生活が可能で, 全身麻酔の禁忌となる重篤な全...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 28; no. 4; pp. 267 - 273
Main Authors 八木下, 勉, 貫井, 英明, 杉田, 正夫, 堀越, 徹, 八木, 伸一, 宮沢, 伸彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 2000
日本脳卒中の外科学会
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ISSN0914-5508
1880-4683
DOI10.2335/scs1987.28.4_267

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Summary:高齢化社会を迎え, 臨床上高齢者くも膜下出血に遭遇する機会が増加しているが, 最近では高齢者破裂脳動脈瘤に対しても積極的に直達手術が行われる傾向にある. しかし, 若年者と異なり治療に難渋することが多い. 特に経過中に起こるさまざまな全身合併症は術後管理を困難にするばかりか, 転帰不良原因となることも少なくない. 今回, 高齢者破裂脳動脈瘤手術例の術後の問題点をより明確にするために, 特に全身状態に注目して白験例の検討を行った. 症例および方法 これまでのわれわれの高齢者破裂脳動脈瘤に対する治療方針は, 基本的に若年者と同様で, 発症前に自立した日常生活が可能で, 全身麻酔の禁忌となる重篤な全身合併症のない症例のうち, 術前の状態が付帯事項を除いたHunt and Kosnik分類にてGrade IからIVまでの症例に対して, 来院後可及的早期に脳動脈瘤に対する直達手術を行うことであった. 脳血管撃縮対策としては原則として, 重症例では脳槽ドレーンを留置し術後数日から10日間は血性髄液の排出を行い, normovolemia, normotensionを基本に, 症候性血管華縮の兆候がみられhypotension傾向の症例では主にdobutamineによるinduced hypertensionを行い, 症例により血管内治療を試みた.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs1987.28.4_267