哺乳動物フォルミンmDia1の回転運動の細胞骨格への役割
「1.はじめに」 細胞はさまざまな外部刺激に応答し, 細胞内でアクチンが重合・脱重合を繰り返すことで, 細胞形態を急速にかつダイナミックに変化させる. 細胞内でのアクチン重合は低分子量Gタンパク質Rhoやそのエフェクターであるアクチン重合核形成因子フォルミンによって制御されている1). フォルミンはそのC末端上にフォルミン相同ドメイン1と2(以後FH1, FH2とよぶ)をもち, このFH1-FH2ユニットがアクチン重合核形成のコアドメインになる2). われわれはこれまでに, 繊維芽細胞内で分子可視化された哺乳動物フォルミンmDia1のFH1-FH2が, アクチン繊維のbarbed end(反や...
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Published in | 生物物理 Vol. 51; no. 5; pp. 218 - 221 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本生物物理学会
2011
日本生物物理学会 |
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ISSN | 0582-4052 1347-4219 |
DOI | 10.2142/biophys.51.218 |
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Summary: | 「1.はじめに」 細胞はさまざまな外部刺激に応答し, 細胞内でアクチンが重合・脱重合を繰り返すことで, 細胞形態を急速にかつダイナミックに変化させる. 細胞内でのアクチン重合は低分子量Gタンパク質Rhoやそのエフェクターであるアクチン重合核形成因子フォルミンによって制御されている1). フォルミンはそのC末端上にフォルミン相同ドメイン1と2(以後FH1, FH2とよぶ)をもち, このFH1-FH2ユニットがアクチン重合核形成のコアドメインになる2). われわれはこれまでに, 繊維芽細胞内で分子可視化された哺乳動物フォルミンmDia1のFH1-FH2が, アクチン繊維のbarbed end(反やじり端, 重合が速い末端)に結合したまま毎秒720個ものアクチン分子を次々と繊維に編入し, 毎秒2μmで前進しながら(プロセッシブに, すなわち結合状態を保ったままで)繊維を伸長させることを報告してきた3). この速度はアクチン繊維上を移動するミオシンや, 微小管上を移動するキネシンといったモータータンパク質の速度に匹敵する. そのためフォルミンが細胞構造に固着することで, アクチン重合によって発生した力によって細胞小器官の輸送や細胞形態の変形をする機構がありえると考えられてきた. |
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ISSN: | 0582-4052 1347-4219 |
DOI: | 10.2142/biophys.51.218 |