運動時における口渇感と生理的反応の関連性
本研究の目的は,気温 15℃,23℃ および 30℃ 環境下運動時において,口渇感の変化に影響を与える可能性が考えられる体温調節反応について明らかにし,口渇感の変化から熱中症予防の評価が可能かどうかについて検討することである.測定項目および結果は以下に示す.被験者は,健康な年齢 20 歳から 22 歳の男子大学生の 8 名を用い,各被験者について異なる環境条件下で 60 分のエアロバイクによる運動を 3 回実施した.測定項目は,環境温度,体重,心拍数,口渇感,総発汗量,脱水率,水分補給量,舌下温,口腔水分率,温冷感であった.運動による口渇感は,15℃ および 23℃ に比較して 30℃ で有意...
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Published in | 日本生気象学会雑誌 Vol. 52; no. 4; pp. 165 - 174 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本生気象学会
01.12.2015
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Subjects | |
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ISSN | 0389-1313 1347-7617 |
DOI | 10.11227/seikisho.52.165 |
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Summary: | 本研究の目的は,気温 15℃,23℃ および 30℃ 環境下運動時において,口渇感の変化に影響を与える可能性が考えられる体温調節反応について明らかにし,口渇感の変化から熱中症予防の評価が可能かどうかについて検討することである.測定項目および結果は以下に示す.被験者は,健康な年齢 20 歳から 22 歳の男子大学生の 8 名を用い,各被験者について異なる環境条件下で 60 分のエアロバイクによる運動を 3 回実施した.測定項目は,環境温度,体重,心拍数,口渇感,総発汗量,脱水率,水分補給量,舌下温,口腔水分率,温冷感であった.運動による口渇感は,15℃ および 23℃ に比較して 30℃ で有意に高値を示した(p<0.05).運動による総発汗量は,15℃ および 23℃ に比較して 30℃ で有意に高値を示した(p<0.05).運動による舌下温上昇量は,15℃ および 23℃ に比較して 30℃ で有意に高値を示した(p<0.05).運動による口腔水分率は,3 条件の間において共に差は認められなかった.運動による 15℃ および 23℃ に比較して 30℃ で有意に高値を示した(p<0.05).運動による心拍出量は,15℃ および 23℃ に比較して 30℃ で有意に高値を示した(p<0.05).また,口渇感の変化に大きな影響を与える因子として最も脱水率が高かった.以上のことから,運動中に主観的評価である口渇感を調査することは,脱水状態を推定できることから,暑熱環境下運動時における熱中症予防対策において有効な方策の1つとなり得ることが確かめられた. |
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ISSN: | 0389-1313 1347-7617 |
DOI: | 10.11227/seikisho.52.165 |