敗血症性ショックモデルとしてのエンドトキシンの病態生理 —酸化ストレスからのアプローチ

ショックとは生活機能が極端に低下したときの状態で, 原因はなんであれ生体に強い衝撃が加わって生じる非生理的な生命を脅かす状態を総称する言葉で, "死の前兆"を意味する1つの症候群である. ショックは慢性的に進行する状態や1つの疾病及び単一の病態ではなく, 原因のいかんを問わず, 共通するショックの病態は相対的あるいは絶対的な循環血液量の減少による末梢循環不全であり, ほぼ共通の終末像を呈する. 直接の原因, ショックを誘発する因子は極めて多く, 病態生理学的にも広範囲にまたがっている. 1)最近の生化学, 免疫学の進歩がショックを理解する上で重要な示唆を与え, 研究者にとっ...

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Published inYAKUGAKU ZASSHI Vol. 124; no. 2; pp. 69 - 87
Main Author 坂口, 修平
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本薬学会 01.02.2004
日本薬学会
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Summary:ショックとは生活機能が極端に低下したときの状態で, 原因はなんであれ生体に強い衝撃が加わって生じる非生理的な生命を脅かす状態を総称する言葉で, "死の前兆"を意味する1つの症候群である. ショックは慢性的に進行する状態や1つの疾病及び単一の病態ではなく, 原因のいかんを問わず, 共通するショックの病態は相対的あるいは絶対的な循環血液量の減少による末梢循環不全であり, ほぼ共通の終末像を呈する. 直接の原因, ショックを誘発する因子は極めて多く, 病態生理学的にも広範囲にまたがっている. 1)最近の生化学, 免疫学の進歩がショックを理解する上で重要な示唆を与え, 研究者にとって興味のつきない多くの問題を提供してくれている. 病態生理学的には心拍出量の低下, 急な低血圧, 有効微小循環血量の欠乏, 播種性血管内凝固(disseminated in travascular coagulation, DIC)とそれに基づく全身組織と重要臓器組織の酸素欠乏(anoxia), 毛細血管透過性の亢進, 網内系(reticuloendothelial system, RES)の機能低下及びそれらの結果としての代謝的失調と細胞代謝不全, 代謝性アシドーシスの発生を伴う.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.124.69