乳頭形成術に準ずる止血術が有用であったEST後止血困難の1例

要旨:症例は66歳男性で,慢性腎不全,前立腺癌,副甲状腺機能亢進症と直腸癌術後のため通院中であった.発熱と腹痛を主訴に受診し,急性胆管炎を伴う総胆管結石に対し内視鏡的治療が行われた.大きな傍十二指腸乳頭憩室の肛門背側に十二指腸乳頭を認め,プレカット後に中切開のESTとENBDおよび膵管脱落型ステントの留置が行われた.しかし,処置後4日目より消化管出血を認め一時ショック状態となった.計3度の内視鏡的止血術と輸血が行われたが結局止血が得られず,状態が悪化したため外科へ転科した.緊急で経十二指腸的乳頭形成術に準じた止血,総胆管結石の切石,胆嚢摘出とCチューブドレナージ術を行い,止血が得られ退院し得た...

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Published in胆道 Vol. 24; no. 5; pp. 736 - 742
Main Authors 樋口, 亮太, 太田, 岳洋, 竹下, 信啓, 梶山, 英樹, 谷澤, 武久, 矢川, 陽介, 植村, 修一郎, 米田, 五大, 高山, 敬子, 白鳥, 敬子, 山本, 雅一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胆道学会 2010
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Summary:要旨:症例は66歳男性で,慢性腎不全,前立腺癌,副甲状腺機能亢進症と直腸癌術後のため通院中であった.発熱と腹痛を主訴に受診し,急性胆管炎を伴う総胆管結石に対し内視鏡的治療が行われた.大きな傍十二指腸乳頭憩室の肛門背側に十二指腸乳頭を認め,プレカット後に中切開のESTとENBDおよび膵管脱落型ステントの留置が行われた.しかし,処置後4日目より消化管出血を認め一時ショック状態となった.計3度の内視鏡的止血術と輸血が行われたが結局止血が得られず,状態が悪化したため外科へ転科した.緊急で経十二指腸的乳頭形成術に準じた止血,総胆管結石の切石,胆嚢摘出とCチューブドレナージ術を行い,止血が得られ退院し得た.1983-2010年の医学中央雑誌にて検索したところ,ショックを伴うようなEST後の出血例に対する外科的止血法について,具体的な方法を言及した報告はまれであり報告する.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando.24.736