アポトーシス誘導にかかわるROSセンサーアニオンチャネル
「1. はじめに」生体の基本構成単位は細胞であり, すべての細胞は生体膜を形成することで内部環境を周囲から隔離し, 恒常性を維持している. また, 生体膜にはレセプター, イオンチャネル, トランスポーターなどの膜タンパク質が発現しており, 細胞内外の環境変化に応じたさまざまな細胞応答を生じることができる. 周辺環境の変化の1つとして浸透圧変化がある. 細胞外浸透圧は, 浸透性物質の分泌や吸収, 代謝などにより時々刻々変化しており, その結果, 細胞内外の浸透圧差が生じる. それゆえに, 細胞は物理化学的に絶えず容積変化を強いられることになる. しかしながら, 細胞の恒常性により細胞容積は一定...
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Published in | 生物物理 Vol. 45; no. 6; pp. 297 - 301 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本生物物理学会
2005
日本生物物理学会 |
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ISSN | 0582-4052 1347-4219 |
DOI | 10.2142/biophys.45.297 |
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Summary: | 「1. はじめに」生体の基本構成単位は細胞であり, すべての細胞は生体膜を形成することで内部環境を周囲から隔離し, 恒常性を維持している. また, 生体膜にはレセプター, イオンチャネル, トランスポーターなどの膜タンパク質が発現しており, 細胞内外の環境変化に応じたさまざまな細胞応答を生じることができる. 周辺環境の変化の1つとして浸透圧変化がある. 細胞外浸透圧は, 浸透性物質の分泌や吸収, 代謝などにより時々刻々変化しており, その結果, 細胞内外の浸透圧差が生じる. それゆえに, 細胞は物理化学的に絶えず容積変化を強いられることになる. しかしながら, 細胞の恒常性により細胞容積は一定に保たれる. この細胞容積調節能は細胞の生命活動に必須な機能であり, さまざまな膜輸送タンパク質の働きにより成し遂げられることが知られている1). たとえば, 低浸透圧性細胞膨張後の細胞収縮は調節性容積減少(regulatory volume decrease:RVD)とよばれ, 主としてK+チャネルとCl-チャネルの並列的活性化を介した細胞外へのKCl流出に伴う浸透圧性水流出により達成される2). |
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ISSN: | 0582-4052 1347-4219 |
DOI: | 10.2142/biophys.45.297 |