気管軟化症,気管内肉芽形成による気道狭窄に対して鎖骨切除,気道ステント留置術を施行した1例

症例.28歳女性.脳性麻痺があり低酸素血症,意識障害のため救急搬送となり,喀痰閉塞と診断され人工呼吸器管理となった.外科的気管切開術を施行したが呼吸器離脱困難と判断し,長期療養型病院への転院となった.転院後に気管狭窄の疑いで再入院となり,当科紹介となった.気管支鏡検査を行い気管切開チューブ先端の軟骨側に半周性の肉芽形成を認め,扁平型の気管内腔の虚脱を認めた.CT検査では側弯に伴う気管の右側偏移を認め,気管切開チューブ先端での腕頭動脈,右鎖骨,椎体による気管の圧排所見を認めた.気管支鏡下に調節型カニューレを挿入し,先端を気管分岐部直上で固定した.気管支鏡下に肉芽焼灼切除術を行ったが窒息を繰り返し...

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Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 39; no. 2; pp. 132 - 135
Main Authors 福本, 泰三, 金井, 理紗, 石垣, 昌伸, 谷口, 春樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2017
日本呼吸器内視鏡学会
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
Subjects
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.39.2_132

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Summary:症例.28歳女性.脳性麻痺があり低酸素血症,意識障害のため救急搬送となり,喀痰閉塞と診断され人工呼吸器管理となった.外科的気管切開術を施行したが呼吸器離脱困難と判断し,長期療養型病院への転院となった.転院後に気管狭窄の疑いで再入院となり,当科紹介となった.気管支鏡検査を行い気管切開チューブ先端の軟骨側に半周性の肉芽形成を認め,扁平型の気管内腔の虚脱を認めた.CT検査では側弯に伴う気管の右側偏移を認め,気管切開チューブ先端での腕頭動脈,右鎖骨,椎体による気管の圧排所見を認めた.気管支鏡下に調節型カニューレを挿入し,先端を気管分岐部直上で固定した.気管支鏡下に肉芽焼灼切除術を行ったが窒息を繰り返したため除圧目的に右鎖骨部分切除を行い,気管動脈瘻予防の目的で腕頭動脈を剝離し気管前面を前頸筋弁で被覆した.症状は改善したが,肉芽による気道狭窄,呼気時の気管扁平化を認めたため,硬性鏡下にI字型Dumonステントを留置した.治療後は症状の改善を認め,気管切開チューブをTチューブへ変更し人工呼吸器の離脱を行った.結論.気管軟化症,気管内肉芽形成による気道狭窄に対して鎖骨切除,気管内ステント留置術を施行した1例を経験した.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.39.2_132