完全内臓逆位症を伴う多発胆嚢ポリープに対し,腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した1例

症例は65歳の女性で左季肋部痛を主訴に受診し,腹部CT検査にて胆嚢内に最大径14 mmの多発ポリープを認めた.この時肝臓,胆嚢を含む全臓器が正位とは左右対称に位置しており,完全内臓逆位を伴う胆嚢ポリープの診断となった.早期の胆嚢癌を否定できないため,腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.術者は患者の右側に立ち,トロッカーの挿入部位も全て通常と左右対称となるように配置し,double-hand法を用いて合併症なく手術を完遂した.手術時間は1時間34分,出血は少量であった.術後臍下部創に感染を認めたが,排膿後軽快し術後13日目に退院した.完全内臓逆位症に対する腹腔鏡下胆嚢摘出術の報告は少なくトロッカー挿入...

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Published in胆道 Vol. 28; no. 4; pp. 684 - 689
Main Authors 千田, 貴志, 川本, 潤, 宮崎, 勝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胆道学会 2014
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Summary:症例は65歳の女性で左季肋部痛を主訴に受診し,腹部CT検査にて胆嚢内に最大径14 mmの多発ポリープを認めた.この時肝臓,胆嚢を含む全臓器が正位とは左右対称に位置しており,完全内臓逆位を伴う胆嚢ポリープの診断となった.早期の胆嚢癌を否定できないため,腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.術者は患者の右側に立ち,トロッカーの挿入部位も全て通常と左右対称となるように配置し,double-hand法を用いて合併症なく手術を完遂した.手術時間は1時間34分,出血は少量であった.術後臍下部創に感染を認めたが,排膿後軽快し術後13日目に退院した.完全内臓逆位症に対する腹腔鏡下胆嚢摘出術の報告は少なくトロッカー挿入位置や手術手技は確立されていない.本症例はdouble-hand法にて施行したが,特にCalot三角部では左手で剥離操作を行う場面も多く,左手での鉗子操作に習熟する事が重要であると思われた.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando.28.684