タンパク質における配列順序非保存な構造類似性

「1. はじめに」我々は, 何かを理解するときの手段の一つとして, 「わかっていない事や物を, 既に理解されていることに関連づける」というアプローチを採用している. 例えば, 惑星の運動はニュートン力学の運動法則と数学的に関連づけられて理解されている. また, 機能や構造が未知のタンパク質配列は, 配列比較で機能既知のタンパク質配列と関連づけることで, そのタンパク質の機能が理解される. このように, わからなかった事物をなんらかの手段によって理解している事物に関連づけるという手法は, 何かを理解する上で有効な手段の一つである. タンパク質の立体構造が与えられたとき, それから何かを理解したり...

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Published in生物物理 Vol. 56; no. 1; pp. 027 - 029
Main Authors 南, 慎太朗, 千見寺, 浄慈
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本生物物理学会 2016
日本生物物理学会
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ISSN0582-4052
1347-4219
DOI10.2142/biophys.56.027

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Summary:「1. はじめに」我々は, 何かを理解するときの手段の一つとして, 「わかっていない事や物を, 既に理解されていることに関連づける」というアプローチを採用している. 例えば, 惑星の運動はニュートン力学の運動法則と数学的に関連づけられて理解されている. また, 機能や構造が未知のタンパク質配列は, 配列比較で機能既知のタンパク質配列と関連づけることで, そのタンパク質の機能が理解される. このように, わからなかった事物をなんらかの手段によって理解している事物に関連づけるという手法は, 何かを理解する上で有効な手段の一つである. タンパク質の立体構造が与えられたとき, それから何かを理解したり, 有用な情報を引き出そうとする際にも, 様々な種類の構造の類似性を利用して「関連づける」という仕事が数多くなされてきた. 例えば, タンパク質の全体構造の類似性を使って, 配列情報だけではわからなかった類縁関係が明らかになった例や, リガンド結合部位のみの原子座標の類似性を使ってタンパク質のリガンド結合部位構造を分類し, それらは約1000種類で尽きていると主張した例, などが挙げられる.
ISSN:0582-4052
1347-4219
DOI:10.2142/biophys.56.027