タンパク質のDNA認識メカニズムと予測

「1. はじめに」現在400種類以上の生物のゲノム配列が明らかにされ, 生物機能をゲノムスケールで解析できるようになった. 遺伝子の発現制御は最も重要な生物機能の1つであるが, ゲノムの中でどの遺伝子がいつ発現するかは, 転写因子が特定の制御領域に結合することにより制御される. では, 転写因子などのDNA結合タンパク質はどのようにして特定のDNA配列情報を読み取って結合するのであろうか?そのメカニズムを理解するには, まず分子構造のレベルで何が起こっているかを知る必要がある. すでに, タンパク質とDNAの複合体の構造が1,500個以上解かれている. これらの構造を詳しく調べてみると, 相互...

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Published in生物物理 Vol. 47; no. 3; pp. 160 - 166
Main Authors 河野, 秀俊, 皿井, 明倫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本生物物理学会 2007
日本生物物理学会
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ISSN0582-4052
1347-4219
DOI10.2142/biophys.47.160

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Summary:「1. はじめに」現在400種類以上の生物のゲノム配列が明らかにされ, 生物機能をゲノムスケールで解析できるようになった. 遺伝子の発現制御は最も重要な生物機能の1つであるが, ゲノムの中でどの遺伝子がいつ発現するかは, 転写因子が特定の制御領域に結合することにより制御される. では, 転写因子などのDNA結合タンパク質はどのようにして特定のDNA配列情報を読み取って結合するのであろうか?そのメカニズムを理解するには, まず分子構造のレベルで何が起こっているかを知る必要がある. すでに, タンパク質とDNAの複合体の構造が1,500個以上解かれている. これらの構造を詳しく調べてみると, 相互作用しているアミノ酸残基と塩基のペアの間には厳密な対応関係は見られない. また, 同じ相互作用ペアでも空間的な位置関係はさまざまである. すなわち, アミノ酸と塩基の相互作用にはかなりの冗長性と柔軟性がある. では, このようなあいまいな相互作用によっていかにタンパク質がゲノムからターゲット配列を認識できるのか.
ISSN:0582-4052
1347-4219
DOI:10.2142/biophys.47.160