プロテオミックスの複雑系研究への適用

「1. はじめに」"Twenty years largely wasted... and every attempt is a wholly new start, and a different kind of failure"-T.S. Eliot, Four Quartetsこの数年の間に分子生物科学の手法として急速に確立されようとしているプロテオミックスは, 一見, 過去20-30年間に起こった発展の延長のようにも見える. しかしながら, プロテオミックスで使う論理は, はっきりと定義された仮説をもとに行うこれまでの実験とは異なり, むしろ100年ほど前にパースが提唱...

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Published in生物物理 Vol. 43; no. 6; pp. 270 - 274
Main Authors 松本, 博行, 黒野, 定, 小森, 直香
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本生物物理学会 2003
日本生物物理学会
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Summary:「1. はじめに」"Twenty years largely wasted... and every attempt is a wholly new start, and a different kind of failure"-T.S. Eliot, Four Quartetsこの数年の間に分子生物科学の手法として急速に確立されようとしているプロテオミックスは, 一見, 過去20-30年間に起こった発展の延長のようにも見える. しかしながら, プロテオミックスで使う論理は, はっきりと定義された仮説をもとに行うこれまでの実験とは異なり, むしろ100年ほど前にパースが提唱したアブダクション(仮説形成推理)に属すると著者らは考える1). この小論では, 著者のグループで過去20余年にわたり追究している, ショウジョウバエ(以下簡単にハエとよぶ)の視細胞で起こるタンパク質リン酸化のカスケードの研究に, プロテオミックス的手法がいかに適用できるかを示したい.
ISSN:0582-4052
1347-4219
DOI:10.2142/biophys.43.270